大群獣ネズラ

映画『大群獣ネズラ』の概要

『大群獣ネズラ』は、1964年の正月に公開予定だった大映製作の特撮映画で、特にモノクロ映像で描かれた戦慄の物語です。この映画は当初、大映の怪獣映画シリーズの第一弾として計画されており、東宝の『ゴジラ』に対抗する形で製作が進められました。

ストーリーの展開

映画の舞台は昭和39年、東京都の離島・笹島です。ここに設置された三上宇宙食糧研究所では、超高カロリーの画期的な宇宙食「S602」が開発され、その食料がきっかけで島のネズミが恐ろしいまでに巨大化する事態が発生します。今まで見たこともない大きさに成長したネズミたちは「ネズラ」と呼ばれ、島の人々や牛馬を襲撃しては消し去ってしまいます。さらに、ネズラたちは海を渡り、東京の下水道にまで進出し、猛威を振るうのです。

物語が進むにつれ、三上博士はネズラを共食いさせてさらに巨大化させる「マンモス・ネズラ」という戦略に出ますが、この取り組みは思わぬ方向へ進展します。さらに、博士をサポートすると信じられていたシュミット博士が実は国際的なスパイであり、S602の機密を奪おうと画策しているという展開が待ち受けています。

製作の背景

本作は、特撮の歴史においても重要な位置を占める一作で、企画自体は「ガメラシリーズ」以前にさかのぼります。特撮監督の築地米三郎が週刊誌で報じられたネズミの大量発生事件に影響を受け、長谷川公之によって脚本が完成されました。この時代背景として、1963年に公開されたアルフレッド・ヒッチコック監督の『鳥』の大ヒットにより、モンスターを扱った映画が注目され、企画が進むことになります。

特撮映画として初のオリジナル怪獣映画として力を入れて製作される予定でしたが、実際の制作過程では様々な問題が立ちはだかります。ネズラの撮影に生きたネズミを使うという新しい試みに挑んだものの、ネズミの行動は撮影を困難にしました。結局、撮影は多くの困難*から中断され、終息を迎えます。

撮影の課題と苦労

撮影中には、ネズミの大量飼育による衛生問題が深刻化し、ダニやノミが発生。「住民からの苦情」や「保健所からの警告」に直面し、撮影は何度も遅延が生じる事態に至ります。最後には、大量のネズミが処分される運命を辿り、その際の風景は特撮以上に壮絶だったという。これにより映画製作は急遽中止され、完成を見ないまま終わりました。

最後に

『大群獣ネズラ』は、特撮映画としての革新性を持ちながらも、その製作過程の厳しさを物語っています。今でも、多くのシーンが人々の記憶に残り、特撮映画の歴史の中に刻まれています。この作品は、怪獣映画の先駆けとなり、また日本映画界に新たな道を開く鍵となったのです。

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