大蓮寺 (京都市)

大蓮寺について

大蓮寺（だいれんじ）は、京都市左京区に位置する浄土宗の寺院で、山号は引接山です。その本尊は阿弥陀如来であり、歴史的には安産祈願の寺としても知られています。この寺院は、後光明天皇がその夫人の安産を祈るために特別な勅命を下したことで、安産祈願の拠り所となった経緯があります。また、本堂には洛陽三十三所観音霊場の第8番札所として祀られている十一面観音も存在し、訪れる人々の信仰を集めています。

歴史的背景

大蓮寺の歴史は、慶長5年（1600年）にさかのぼります。この年、深誉という僧が現在の京都市下京区で寺を創建しました。伝説によると、深誉は伏見で金色の阿弥陀如来の像を見つけ、その美しさに感動し、誰も祀る者がいないことを可哀相に思い、持ち帰って仏堂を建てたのが大蓮寺の始まりだと言われています。しかし、後にこの像は真如堂にある阿弥陀如来の分身であることが明らかになり、返還を余儀なくされました。深誉は失意の中、21日間念仏を唱え続け、最後の夜には旅の僧と共に念仏をし、翌朝にはその結果として本尊が二体に分かれました。一体は真如堂に返還し、もう一体が大蓮寺に残ることとなりました。

大蓮寺は後光明天皇の夫人である典侍庭田秀子が難産に悩んでいたため、仏に祈願を捧げました。その結果、彼女は第一皇女の孝子内親王を無事出産しました。このように、寺の信仰は受け継がれ、後光明天皇崩御後は有栖川職仁親王が信仰を継承しました。寺の紋もその時から有栖川宮紋となっています。

明治初頭の神仏分離令により、他の寺院から多くの仏像が移され、さらにこの寺も移転を余儀なくされました。元々は仏具屋通の毘沙門町にあった寺ですが、1944年に空襲対策で現在の東山二条に移転しました。戦後の昭和40年代には浄土宗・常念寺と統合し、現在の寺基を形成しました。

主要な仏像

大蓮寺の本尊である阿弥陀如来立像は、真如堂の阿弥陀如来からの分身とされています。女人救済や安産にご利益があるとして、多くの信仰を集める重要な存在です。また、境内には十一面観音立像や薬師如来立像も安置されています。

• - 十一面観音立像: 祇園社（現・八坂神社）の観音堂からのもので、10世紀に製作されたカヤ材の一木造りの像で、洛陽三十三所観音霊場の第8番札所です。

• - 薬師如来立像: 重要文化財に指定されるこの仏像は、以前は祇園社の本地仏であり、平安時代の製作と見られています。

• - 夜叉神明王立像: 厄除けの利益があるとして信仰されています。

交通アクセス

大蓮寺には、京都市営バスの東山二条・東山仁王門バス停から徒歩約3分の距離です。交通の便にも恵まれ、多くの参拝者が訪れています。

最後に

大蓮寺は、歴史的背景や豊かな伝説、多様な文化財を持つ寺院です。安産祈願の場所として、その意義は今日でも多くの人々に重視されています。

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