大蔵大臣アワー

『大蔵大臣アワー ふところ放談』

1965年2月18日から5月20日まで、毎週木曜日の23時台に日本テレビ系列で放送された『大蔵大臣アワー ふところ放談』は、政治と経済に関する情報を提供する教養番組です。この番組は、当時の大蔵大臣であった田中角栄（自由民主党所属）を中心に構成され、経済問題を取り上げ、さまざまな専門家やゲストと一緒に議論を展開しました。

番組の目的とスタイル

『大蔵大臣アワー ふところ放談』は「政治と台所を結びつける」という目的のもとに制作され、一般視聴者に向けた経済情報を提供しました。大蔵大臣が主なキャストとして出演することで、政治と経済の関係についての理解を深めることを狙ったのです。番組は政府の広報ではなく、民間企業のスポンサーが提供する一般視聴者向けの内容でありました。これにより、政府の政策や大臣自身のメッセージが多くの視聴者に伝えられる環境を整えていました。

しかし、田中角栄が国務大臣である一方で、実質的には自民党のPR活動に利用されているとの批判もあり、特に放送のスポンサーが民間企業であったことが問題視されました。このため、本来は半年間の放送予定であった番組は、たったの3ヶ月で打ち切られ、全14回で終了することとなりました。

出演者

この番組のレギュラー出演者には、以下のメンバーが名を連ねました：

• - 田中角栄 - 大蔵大臣として番組の中心的存在。
• - 小汀利得 - 経済評論家。
• - 小林七郎 - 経済評論家。
• - 影山裕子 - 日本電信電話公社の調査役。

さらに、番組には毎回さまざまなゲストが登場し、視聴者に異なる視点や意見を提供しました。特に、福島慶子や沢村貞子、中村メイコといった著名な人物がゲストとして参加しました。

新潟での放送

田中の地元である新潟県では、同番組がTBS系列の新潟放送において、スポンサーなしで放送されていました。放送日時は、毎週木曜日6時と金曜日の午後の2回にわたって行われ、地元の視聴者にも広く親しまれました。

番組終了後の影響

番組が終了した後の1965年6月3日に、田中は大蔵大臣を退任し、自由民主党の幹事長へと就任しました。彼の政治キャリアにおいて、この番組は大きな注目を集め、彼の知名度を高める要因となりました。翌月には、後継番組『20世紀の顔』が開始されるまでの間、特別番組が7週にわたり放送されることになり、その中で田中も幹事長として出演しました。

このように、『大蔵大臣アワー ふところ放談』は、当時の日本における政治と経済の情報を広める試みとして重要な役割を果たしましたが、同時にその存在が引き起こした政治的な議論もあったことは事実です。

もう一度検索