大覇尖山

大覇尖山は、台湾北部に位置し、新竹県尖石郷と苗栗県泰安郷の境界にそびえる標高3,492メートルの山です。この山は、その特異な形状と周囲の絶壁に囲まれた景観から、古くから人々の注目を集めてきました。

その独特な山容は、遠くから見ると酒樽のように見えることから、かつては「熬酒桶山（アオジョウタンシャン）」や「酒桶山（ジョウタンシャン）」とも呼ばれていました。また、その美しい姿から「世紀奇峰」という異名を持ち、台湾の著名な山々である「台湾百岳」の一つに数えられ、その中でも28位にランクインしています。さらに、鋭く尖った山頂を持つ「三尖」の一角としても知られています。

大覇尖山の初登頂は1927年、台湾山岳会の沼井鉄太郎が率いる登山隊によって達成されました。当時、登山隊は岩壁に人工物を打ち込むことを検討しましたが、景観保護を重視し、手ぶらでの登頂を決行しました。その後、1931年には北田正三が南壁にあるチムニーと呼ばれる岩の割れ目を単独で登攀することに成功しました。

1959年には、山頂へのアクセスを容易にするために梯子が設置され、大覇尖山は多くの登山者に人気の山となりました。しかし、時が経つにつれて梯子は錆びて損傷が進み、1989年には林務局によって大覇尖山への登山が禁止され、梯子は撤去されました。その後、崩れやすい地質や景観保護、登山者の安全、先住民族による信仰上の理由から、2010年に内政部によって国家公園法に基づき正式に頂上への登山が禁止されることとなりました。

現在、大覇尖山は、その美しい景観を保護するための規制が敷かれており、一般の登山者は山頂に立ち入ることができません。しかし、その雄大な姿は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。大覇尖山は、台湾の自然を象徴する山の一つとして、その名を歴史に刻んでいます。

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