大規模災害からの復興に関する法律

大規模災害からの復興に関する法律について

大規模災害からの復興に関する法律（平成25年6月21日法律第55号）は、大規模な災害からの復興を迅速かつ円滑に進めるための特別措置を定めた日本の法律です。この法律は、過去の災害の経験を踏まえ、被災地の早期復興を支援するために制定されました。

法律の概要

この法律は、内閣府の防災担当部局が所管し、内閣官房危機管理監、復興庁、国土交通省、農林水産省など、関係省庁が連携して執行にあたります。東日本大震災の教訓を活かし、2013年6月21日に公布・施行されました。一部規定は同年8月30日に施行されています。

復興対策本部

「特定大規模災害」が発生した場合、内閣総理大臣を本部長とする「復興対策本部」を設置することが可能です。この本部は、復興に関する基本方針を策定し、復興計画の実施を推進します。

復興基本方針

法律では、国と地方公共団体が適切な役割分担の下、地域住民の意向を尊重しつつ協力して、被災地の生活再建と経済復興を図ることを基本理念としています。そのために、「復興基本方針」の策定が義務付けられています。

特別措置

復興対策本部が定める復興計画を実行するために、都市計画法、土地改良法、森林法などの規定に対する「特別の措置」が定められています。これにより、復興事業の迅速な実施が可能になります。また、被災した市町村が実施すべき災害復旧事業を、被災自治体の要請に基づき国が代行できる措置も設けられています。

特定大規模災害等

都市計画上の特例や災害復旧事業の権限代行措置は、「特定大規模災害等」（特定大規模災害または、著しく異常かつ激甚な非常災害として政令で指定される災害）にも適用されます。

法律の構成

この法律は、以下の章で構成されています。

第1章 総則（第1条 - 第3条）：法律の目的や基本理念などを規定します。
第2章 復興対策本部及び復興基本方針等
第1節 復興対策本部（第4条 - 第7条）：復興対策本部の設置や組織、権限について定めます。
第2節 復興基本方針等（第8条・第9条）：復興基本方針の策定や内容について規定します。
第3章 復興のための特別の措置
第1節 復興計画に係る特別の措置
第1款 復興計画の作成等（第10条 - 第20条）：復興計画の作成や手続きについて定めます。
第2款 復興一体事業（第21条 - 第27条）：復興一体事業の実施に関する規定。
第3款 復興計画の実施に係る特別の措置（第28条 - 第38条）：復興計画を円滑に進めるための特例措置。
第4款 雑則（第39条・第40条）：復興計画に関するその他の規定。
第2節 都市計画の特例（第41条・第42条）：都市計画における復興拠点の形成に関する特例を定めます。
第3節 災害復旧事業等に係る工事の国等による代行（第43条 - 第52条）：災害復旧事業を国が代行する場合の規定。
第4章 雑則（第53条 - 第59条）：その他の規定。
第5章 罰則（第60条 - 第62条）：法律違反に対する罰則を規定します。

適用された災害

「特定大規模災害」に指定された災害はまだありませんが、第2条第9号の「非常災害」に指定された災害はいくつかあります。以下にその例を挙げます。

平成二十八年熊本地震
県道熊本高森線（俵山トンネルを含む）と南阿蘇村道栃の木-立野線（阿蘇長陽大橋を含む）の災害復旧事業を国（国土交通省）が代行しました。
令和元年台風第十九号
複数の国道・市道で災害復旧事業を国が代行しました。
宮城県、福島県、群馬県、長野県、神奈川県における国道、市道などの区間です。
令和二年七月豪雨
豪雨により甚大な被害を受けた地域で、復旧事業が実施されました。
令和六年能登半島地震
能登半島地震による災害についても、非常災害の指定が行われ、復旧事業が実施されています。

関連法規

この法律に関連する主な法律は以下の通りです。

東日本大震災復興基本法
東日本大震災による被害を受けた公共土木施設の災害復旧事業等に係る工事の国等による代行に関する法律
東日本大震災に対処するための土地改良法の特例に関する法律

外部リンク

大規模災害からの復興に関する法律 - 内閣府
法律第五十五号（平二五・六・二一）◎大規模災害からの復興に関する法律（衆議院：成立当初の法）

この法律は、大規模災害からの復興を迅速に進めるための重要な枠組みであり、被災地の早期復旧・復興に向けて、今後もその運用が重要となります。

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