大賀寛

大賀 寛とは

大賀 寛（おおが ひろし、1929年3月3日 - 2017年7月31日）は、日本を代表する声楽家であり、教育者としても知られています。彼は日本オペラ協会を創設し、長年その総監督として活動し、日本のオペラシーンの発展に寄与しました。妻は大賀美都子（旧姓：大谷）であり、彼女もちょうど音楽業界で活躍する人物です。

経歴

大賀は京都府京都市に生まれ、東京藝術大学音楽学部声楽科を1955年に卒業しました。卒業後は、様々なオペラ公演に出演し、特に1958年には教育オペラ協会を設立しました。1960年にはこの団体が日本オペラ研究会と改称され、1970年には更に日本オペラ協会となりました。彼は1972年頃からは歌手としての活動から離れ、スタッフとしての役割にシフトしていきました。

1977年に日本オペラ協会の総監督に就任した大賀は、1981年に藤原歌劇団に事業を委譲するまで、この役職を務めました。しかし、委譲後も彼は総監督として活動を続け、日本語唱法の確立や日本オペラの創造に尽力しました。

彼が手掛けた日本オペラの初演には、多くの作品があり、1965年から始まった「日本オペラシリーズ」においても、牧野由多可の『黒塚』や水野修孝の『天守物語』など、数々の名作が生まれました。

音楽教育者としての活動

大賀は音楽教育の分野でも非常に重要な役割を果たしました。日本歌曲や童謡、唱歌の編纂、著書の執筆に力を注ぎ、多くの後進を育成しました。その中には、二見忍、川合玲子、十日谷正子、鈴木芳恵など、現在も活躍する歌手たちが名を連ねています。

また、彼は第11回から日本歌曲連続演奏会の監督として指導を行い、2019年までに69回にわたってこのイベントが開催されました。1988年には、音楽祭「ワルシャワの秋」に参加するために団長も務めました。

大賀は公益財団法人日本オペラ振興会の常任理事や新国立劇場運営財団の評議委員などの役職も歴任し、音楽教育の普及と発展に貢献しました。

受賞歴と著書

彼の業績は高く評価され、1985年には第35回芸術選奨文部大臣賞、1990年には紫綬褒章を受章し、2000年には勲四等旭日小綬章も授与されました。これらの受賞は、彼の日本の音楽界、特にオペラの発展に対する尽力の証と言えます。

著書には、日本歌曲選集や童謡・唱歌に関する書籍があり、多くの楽譜を編纂しています。特に「美しい日本語を歌う－心を伝える日本語唱法」は、日本語の唱法に関する貴重な一冊です。

最後の日々と影響

大賀は2017年7月31日に心臓病により88歳で他界しました。彼の葬儀は近親者のみで行われ、同年9月にはお別れの会が開催されました。音楽界に与えた影響は計り知れず、彼の足跡は今後も多くの音楽家たちに引き継がれることでしょう。大賀寛の業績を偲び、彼が育てた多くの後進たちがこれからも日本の音楽界を支えていくことでしょう。

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