水野修孝

水野修孝

水野修孝（1934年2月24日 - ）は、日本の作曲家、指揮者です。千葉大学、静岡文化芸術大学、東京藝術大学、武蔵野美術大学で教鞭を執りました。

経歴

徳島県に生まれ、2歳の時に千葉県茂原市へ転居。戦時中の疎開経験が、母親のピアノと父親のクラシック音楽レコードとの出会いをもたらし、音楽への道を志すきっかけとなりました。千葉大学在学中にオーケストラで指揮を始め、東京藝術大学で作曲を学びました。

作風と作品

水野修孝の音楽は、初期には偶然性や即興を取り入れた実験的なものでしたが、ジャズ理論を習得してからは、ジャズの要素も取り入れるようになりました。1974年にはロックフェラー財団の招聘で渡米し、様々な音楽に触れたことが、ジャンルを超えた独自の音楽観を確立する契機となりました。

彼の作品は、クラシック、現代音楽、ジャズ、日本の伝統音楽など、多様な要素を融合させた、折衷的で「ポスト・モダン」的な作風が特徴です。大規模なオーケストラ作品から、室内楽、オペラ、ミュージカル、合唱曲、歌曲、ジャズ作品、電子音楽まで、幅広いジャンルにわたり、その数は386曲に及びます。

代表作として、3時間にも及ぶ大作『交響的変容』や、オペラ『天守物語』、交響詩『夏』などがあります。

交響曲

交響的変容（1961～87年）
交響曲第1番（1990年）
交響曲第2番「佐倉」（1991年/1999年改訂）
交響曲第3番（1997年/2001年改訂）
交響曲第4番（2003年）
交響曲第5番（2022年）

オペラ

天守物語（1977年）
美女と野獣（1989年/2003年改訂）
ミナモ（1991年）

ミュージカル

泣きたくなったら笑うんだ（1993年）
時空の絆（1996年）
イノセント・ムーン（1999年）
シアター・ストーリー（2001年）
先生が泣いた日~子供のためのミュージカル~（2002年）

その他

数多くの管弦楽曲、協奏曲、器楽曲、室内楽曲、声楽曲、歌曲、ジャズ作品、電子音楽を作曲しています。

評価

水野修孝は、日本の現代音楽界において、独自の道を切り開いてきた作曲家として高く評価されています。その作品は、多様な音楽要素を融合させ、聴く者を魅了する力強い表現力を持っています。また、教育者としても多くの才能を育成し、日本の音楽文化の発展に貢献しています。

語録

水野修孝は、自身の音楽について、以下のように語っています。

『交響曲という形式は多様な種類の音楽をひとつの統一された表現体として構成するのに都合の良い容器である。』
『純血文化はやがて淘汰され、これからの世界を席捲していくのは混血文化である。』
『何よりも先ず"音の渦巻きの中で思わず叫び声をあげたくなるような音楽"をつくろうと、ぼくはいつも考えていた。』
『口では言えない事が大事だと思うんだよね。つまり、こうハートに訴えてくるものは言葉には出来ないよね。それが大事だと思うんだよね。』

これらの言葉は、水野修孝の音楽に対する情熱と、独自の音楽観を物語っています。

近年の活動

2011年には、マリン・オルソップの指揮で交響詩『夏』が再演され、2016年にはオペラ『天守物語』が上演されるなど、近年再評価の機運が高まっています。2021年には、山田和樹指揮の日本フィルハーモニー交響楽団により、交響曲第4番と混声合唱のオートノミーが再演されました。

外部リンク

* 水野修孝 公式サイト

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