大賀正行

大賀 正行の生涯と足跡

大賀 正行（おおが まさゆき、1937年8月2日 - 2024年4月15日）は、日本の部落解放運動における著名な活動家であり、部落解放・人権研究所の名誉理事としても知られています。彼は部落解放同盟の中央執行委員や部落解放研究所の理事を歴任するなど、長年にわたり人権の擁護に尽力しました。

生い立ち

大賀氏は大阪市東淀川区西淡路（日之出地区）に生まれ、非嫡出子として母親は被差別部落出身、父親はその外の背景を持つ家庭で育ちました。父親は工場管理者として働き、母親もその工場で作業をする立場でした。彼が小学校2年生のとき、家族の事情により父親の正妻のもとへ引き取られ、和歌山市で異母兄姉と共に育ちます。1945年に和歌山大空襲に遭った後、日之出地区に戻ることになり、結局は父の元で生活を再開します。このように、彼は被差別部落とそれ以外の環境の間で育つこととなりました。中学では淡路中学校に転校し、高校は大阪府立北野高等学校を卒業しました。

大学生活と部落解放運動への関与

その後、大賀氏は大阪市立大学の文学部へ進学し、1957年には部落解放同盟大阪府連合会第6回大会に参加しました。1959年には上田卓三や他の仲間と共に部落解放同盟大阪府連日之出支部を結成し、初代支部長に就任します。彼の所属する同盟は日本共産党とつながりを持っていたが、次第に党内の意見の違いにより彼の立場は変遷していくことになります。

政治的活動と影響

大賀氏は共産党フラクションの一員であったため、同党内の方針に対しても一定の影響を持ちました。特に、同和対策審議会の答申に対する見解について異論を唱える場面も多かったとされ、1968年には内部文書を公表することにより、党の方針が当初の否定的なものであったことを示そうとしました。これにより同党から除名されることになりますが、彼はその後も活動を続け、部落解放同盟の「影の書記長」や「権力者」とも称されました。

組織再編と人権問題への関心

大賀氏は部落解放同盟を「人権同盟」と名を改め、部落問題にとどまらず広く人権問題全般へとアプローチするNGOを目指し、行政からの助成を受けつつ運営していく意向を持っていました。このように彼は、自らの活動を広げ、社会問題全般への解決策を模索しました。

著書と学問への貢献

大賀氏はまた、著書を通じて彼の考えや部落解放理論の重要性を広めました。代表的なものには『部落解放理論の根本問題 － 日本共産党の政策・理論批判 －』や、共著の『部落解放理論の創造に向けて』などがあります。1988年に発表した『同対審答申の意義と今日』や1991年の『第三期の部落解放運動 － その理論と創造 －』も、彼の見解を示す重要な文献とされています。

まとめ

大賀正行氏の生涯は、個人の背景と世間の偏見、さらには社会運動の複雑さを映し出しています。彼の活動は、部落問題への理解を深めるだけでなく、人権全体に関わる重要な意義を持っています。2024年の彼の逝去は、部落解放運動における重要な時代の一区切りを示しています。

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