部落解放・人権研究所

一般社団法人部落解放・人権研究所は、部落差別問題の研究と啓発活動を行う、歴史ある研究機関です。旧称は大阪部落解放研究所、部落解放研究所であり、大阪市に本部を置いています。

その活動は多岐に渡り、大きく分けて研究活動と啓発活動の2つに分類できます。研究活動では、歴史理論部門と啓発運動部門がそれぞれ複数の部会に分かれ、400名を超える研究員が、部落差別問題に関する歴史、社会構造、人権問題など幅広いテーマに取り組んでいます。 これまでに『部落解放研究』や『部落解放年鑑』といった学術誌、そして『奥田家文書』や『大阪府南王子村文書』といった貴重な史料集を数多く発行し、日本の部落問題研究に大きく貢献してきました。さらに、過去に発行されていた『融和事業年鑑』や『東雲新聞』といった資料の復刊にも取り組んでいます。

啓発活動では、毎年開催される部落解放夏期講座や部落解放大学を通して、部落差別問題に関する知識や理解を深める機会を提供しています。これらの活動は、単なる知識の伝達にとどまらず、参加者同士の意見交換や交流の場ともなっており、問題解決に向けて共に考える機会を創出しています。 また、機関誌『部落解放』や月刊誌『ヒューマンライツ』の発行を通じ、一般の人々にも部落差別問題への理解を促進しています。

同研究所の歴史は、1968年8月14日に大阪部落解放研究所として発足したことに始まります。日本共産党との対立を背景に、部落問題研究所から分裂する形で設立されました。初代理事長は原田伴彦氏、副理事長は盛田嘉徳氏、理事兼事務局長は村越末男氏が務めました。設立当初から精力的に活動を展開し、1970年には夏期講座を開始、1972年には研究所紀要『部落解放研究』を創刊、1974年には部落解放大学を開設するなど、着実に規模を拡大していきました。その後、1974年には社団法人格を取得、1975年には出版部門を解放出版社として分離、1988年には月刊誌『ヒューマンライツ』を創刊するなど、組織運営や活動内容を時代の変化に合わせて柔軟に調整してきました。1998年には現在の名称である「部落解放・人権研究所」に改称、2010年には科学研究費補助金取扱規程で定める研究機関の指定を受け、2013年には内閣府認可の一般社団法人に移行するなど、発展を遂げてきました。

現在に至るまで、一般社団法人部落解放・人権研究所は、長年にわたる研究と啓発活動を通して、部落差別問題の解決に貢献し続けています。その活動は、単なる学術研究にとどまらず、社会全体への影響も大きく、日本の社会問題を考える上で重要な役割を果たしていると言えるでしょう。 今後も同研究所の活動が、より多くの人の理解と協力を得ながら、部落差別問題の根絶に向けた大きな力となることが期待されます。

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