和歌山大空襲

和歌山大空襲

和歌山大空襲（わかやまだいくうしゅう）は、第二次世界大戦中にアメリカ軍が和歌山市を対象に行った一連の空襲を指します。特に1945年7月9日から10日にかけて行われた空襲が最大規模で、この戦略爆撃は和歌山県に深刻な被害をもたらしました。

空襲の経緯

和歌山に対する最初のアメリカ軍の空襲は1942年4月に行われ、川沿いの岩出町や粉河町付近が標的となりました。その後も1945年に入り、1月9日には東和歌山駅周辺が爆撃され、8月14日までには何度も空襲が続きました。和歌山県内の沿岸都市の港湾や石油関連施設も次々に攻撃されました。

7月9日の空襲

1945年7月9日、午後5時頃にテニアン西飛行場から出撃した多くのB-29爆撃機が和歌山に向かいました。午後9時10分には和歌山市全域と紀州沖に警戒警報が発令され、市民に対してアメリカ軍の近接を知らされますが、実際の空襲開始まで多くの人々は安心していた様子でした。

ところが、午後10時25分に和歌山全域に空襲警報が出され、23時頃には約250機の敵爆撃機が北上するとの情報が流れました。アメリカ軍機は高度約3,100～3,500mから和歌山市の上空に進入し、午後11時36分に初めての爆撃が河西部で開始されました。アメリカ軍は中心部を狙い、和歌山市駅、ぶらくり丁、県庁周辺などに爆弾を投下しました。

この結果、和歌山市の中心部はほぼ壊滅状態になり、推定では70%が破壊されたと言われています。市民たちは旧和歌山県庁舎跡の空き地に避難していましたが、火災による熱風が襲い、そこでも多くの人々が命を落としました。

被害状況

この空襲による死者は1,208名、重傷者は1,560名、軽傷者は3,000名以上に達し、行方不明者も216名いました。住宅や建物に対する被害も甚大で、31,137戸の焼失が確認されています。アメリカ軍の記録によると、和歌山市内の建物密集地の52.5%が破壊され、800トンを超える焼夷弾が投入されたことが記されています。

文化財の被害

空襲によって和歌山城も炎上し、数多くの国宝を含む重要な建物が焼失しました。一部の建物は残りましたが、城のシンボルであった天守は失われました。1958年には市民の努力により、天守が復元されることになりました。

その他の影響

空襲の記憶は和歌山市民に深く刻まれ、戦後には供養塔や地蔵尊が建立され、市民の思いを引き継いでいます。また、著名な被災者の中には、ジャニー喜多川やメリー喜多川、声優の黒沢良などが名を連ねています。

和歌山大空襲は多くの命が失われ、街が壊滅的な打撃を受けた歴史的な出来事です。この出来事を忘れず、教訓を得ることが今後の平和な社会を築くうえで重要です。

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