大賀郷村

大賀郷村（おおかごうむら）

大賀郷村は、かつて東京都八丈支庁の管轄下に存在した行政村の一つです。現在はその村名は廃止されていますが、八丈町の地名として現在も使用されており、八丈島の地理的な中心地にあたります。八丈町の行政機能の中心である町役場や、島の玄関口となる八丈島空港などがここに位置しています。

地理的には、八丈島の西部に位置し、雄大な太平洋に面した地域でした。

歴史

大賀郷村の成立は、明治時代後期に遡ります。1908年（明治41年）10月1日、八丈島に島嶼町村制が施行されたことに伴い、正式に村として発足しました。その後、昭和期に入り、1940年（昭和15年）4月1日には、伊豆諸島に適用されていた島嶼町村制が普通町村制へと移行するなど、法制度の変更がありました。

村がその歴史を閉じるのは、昭和の大合併期です。1955年（昭和30年）4月1日、大賀郷村は隣接していた宇津木村と共に、当時の八丈村に編入される形で消滅しました。そして同日、編入先となった八丈村は町制を施行し、八丈町へと改称しました。

この合併に際して、大賀郷村は強い抵抗を示したことで知られています。背景には、隣接する三根村との間に江戸時代から続く歴史的な対立関係があったとされています。昭和の大合併の過程で、三根村が一足早く八丈村との合併を選択したことが、大賀郷村が編入合併に最後まで応じようとしなかった一因となりました。大賀郷村側は、1955年の編入期限が迫るぎりぎりまで、合併の条件として具体的な要求を突きつけ、交渉を続けました。その要求は、「村議会議員16名を新町の町議会議員として自動的に引き継ぐこと」「新町長については改めて選挙によって選出すること」など、村の自主性や既得権益を守ろうとするものでした。この状況は容易に解決せず、東京都も事態を静観することはできないと判断。副知事や行政部長といった都の幹部を派遣し、村側の説得にあたるという異例の対応を取り、最終的に編入合併へと至りました。

現在

村としての実態はなくなりましたが、大賀郷という地名はその名残として残り、現代の八丈町における重要な地域となっています。前述の通り、八丈町の行政機能や交通の要衝が集中しており、島の経済・社会活動の中心地としての役割を担っています。

参考文献

この地域の歴史や地理に関する情報は、以下の文献などで参照可能です。

角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典 13 東京都』、角川書店、1978年
日本加除出版株式会社編集部『全国市町村名変遷総覧』、日本加除出版、2006年
内閣統計局『昭和十年国勢調査報告』、総務省統計局、1935 年

関連項目

東京都の廃止市町村一覧

（過去の人口統計や詳細な変遷表などの情報も存在しますが、本稿では割愛します）

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