大連 (古代日本)

大連（おおむらじ）とは

大連とは、古墳時代のヤマト王権において、大王（天皇）を補佐し、政治を執り行った役職の一つです。連（むらじ）という姓を持つ氏族の中でも、特に軍事的な役割を担った伴造（とものみやつこ）出身の有力氏族である大伴氏と物部氏が、この大連の地位を占めました。

大連の歴史

『先代旧事本紀』には、尾張連の遠祖である瀛津世襲（おきつよそう）が、第5代孝昭天皇の大連であったと記されています。一方、『日本書紀』では、第11代垂仁[[天皇]]時代の物部十千根（もののべのとちね）が最初の記録とされています。しかし、これらの人物の実在については、肯定的な説と否定的な説の両方があります。

大連は、各大王の治世ごとに任命されるのが基本でしたが、雄略天皇の時代には、大伴室屋（おおとものむろや）と物部目（もののべのめ）が同時に任命され、大臣と共に常設の役職となったと考えられています。6世紀前半には、大伴金村（おおとものかなむら）と物部麁鹿火（もののべのあらかひ）が任命され、特に継体天皇の擁立に貢献した大伴金村が大きな権力を振るいました。しかし、宣化天皇の時代に物部麁鹿火が亡くなると、その同族である物部尾輿（もののべのおこし）が欽明天皇によって大連に任命されました。その後、朝鮮半島での失態を追及された大伴金村が失脚すると、物部氏が単独で大連の地位を占めることになりました。

6世紀後半には、物部尾輿の子である物部守屋（もののべのもりや）が大連に任命されました。しかし、仏教の受容を巡る問題や皇位継承問題で、大臣の蘇我馬子（そがのうまこ）と激しく対立し、最終的に蘇我氏の追討軍によって滅ぼされました。この事件をきっかけに大連制は廃止され、その後は蘇我氏の大臣が実権を握ることになりました。

大連に関する異説

1980年代以降、黒田達也や倉本一宏といった研究者から、「ヤマト王権（大和朝廷）の職制として存在したのは大臣だけで、大連という役職は存在しなかった」という説が提唱されました。また、大臣は「オホオミ」ではなく、氏族合議体の主宰者である「オホマヘツキミ」であったという主張もなされました。この説に対して、大連も「オホマヘツキミ」であったとする説や、大臣は「オホオミ」で正しいとする反論、そして、大連は連の姓を持つ大臣に対して、『日本書紀』の編纂者が付与した称号にすぎず、職制ではなかったとする説など、様々な見解が出されています。

『日本書紀』に記述のある大連

物部十千根（もののべのとちね）
物部伊莒弗（もののべのいこふつ）- 物部十千根の曾孫
大伴室屋（おおとものむろや）
物部目（もののべのめ）- 物部伊莒弗の子
大伴金村（おおとものかなむら）- 大伴室屋の子または孫
物部木蓮子（もののべのもくれんし）- 物部伊莒弗の孫
物部麁鹿火（もののべのあらかひ）- 物部木蓮子の孫
物部尾輿（もののべのおこし）- 物部目の孫
物部贄子（もののべのねし）- 物部尾輿の子
物部守屋（もののべのもりや）- 物部尾輿の子

関連項目

物部氏
大臣 (古代日本)
* 大伴氏

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