大連港

大連港（だいれんこう）

中国遼寧省の大連市、遼東半島の先端付近に位置する港湾で、中国東北地方における最大規模の国際貿易港としての役割を担っています。天然の良港として知られ、冬季でも凍らない不凍港であり、港の最大水深が33メートルに達するなど、恵まれた地理的・自然的条件を備えています。この立地特性から、中国国内の南北を結ぶ水陸交通の要衝であり、また国際貿易や国内物資輸送の重要な拠点の一つとして、経済活動において中心的な役割を果たしています。

大連港は、古くからの港湾である大連湾に位置する旧港区と、比較的新しい大窯湾に位置する新港区に分かれています。世界中の160以上の国や地域、300以上の港との間に経済貿易上の航路が開設されています。港の取扱量は近年飛躍的に増加しており、1980年の3200万トン台から、2015年には4億トンを超える規模へと拡大しました。現在では年間3億トンを超える貨物と、977万個のコンテナを取り扱い、世界の主要港湾の一つに数えられています。大連市の中心部や経済技術開発区の周辺には、大連港の主要施設に加え、石油、漁業、石炭、食糧などを専門に取り扱う鮎魚湾石油埠頭、大連湾漁港、和尚島石炭港、北良食糧埠頭といった多種多様な港湾施設が連なっています。

主な施設

大連港には、コンテナ輸送を効率的に行うための大規模なターミナルが複数整備されています。代表的なものには、大連コンテナターミナル（DCT）、大連港コンテナターミナル（DPCM）、大連国際コンテナターミナル（DICT）などがあります。これらの施設が、世界各地とのコンテナ貨物のスムーズな流通を支えています。

運営体制

大連港の運営管理は、主に大連港集団が行っています。この集団の資産や業務の大半は、香港証券取引所に上場している子会社である大連港股份有限公司が中心となって担っています。

旅客輸送

大連港では貨物輸送のみならず、旅客輸送も行われています。中国国内の主要都市である天津、煙台、威海、上海などとの間に定期旅客船が運航されています。また、大連周辺の長海県に属する島々への航路も利用されています。国際航路としては、韓国の仁川港へのフェリー航路が開設されており、人々の往来に利用されています。

歴史

現在の大連港周辺は、19世紀半ばの1860年頃には「青泥窪（ちんていわ）」と呼ばれる清国の小さな漁村でした。港湾としての歴史は、1898年にロシア帝国が清国から大連湾周辺地域を租借したことに始まります。この時、港の一部が外国貿易の開港場とされ、外国商船の入港が許可されました。1899年には、ロシア皇帝の勅令によりダルニー（後の大連）という都市の建設が決定され、港は外国商船に平等に開放される自由貿易港となります。これにより本格的な港湾開発が進められ、1902年に港として開港しました。

1905年までに複数の埠頭が完成し、特に第二埠頭は鉄道が敷設されていたため、日露戦争時には日本の兵站基地として利用されました。同年、日露講和条約により大連を含む地域が日本の租借地関東州となり、港湾施設等の権利も日本へ移管されます。これ以降、南満州鉄道株式会社（満鉄）が港湾の継続的な整備と運営を委託され、ロシア時代の計画を概ね引き継ぎつつ、防波堤や新たな埠頭の建設、既存施設の改良などを積極的に進めました。1920年代には第三埠頭が建設され、防波堤や岸壁などの主要な工事が完了しました。1923年には第二埠頭が拡張され、大型船の入港が可能になります。1924年には第二埠頭船客待合所が竣工し、鉄道との接続も考慮された施設となりました。

1930年代には、満州の貿易が大連港に集中するようになり、満州国全体の貿易額の約75％を大連港が担うまでに発展しました。第二次世界大戦中の1942年には、日満連絡船の運航は国家総動員法に基づき設立された船舶運営会に移管されます。

1945年8月、第二次世界大戦終結に伴いソ連軍に接収されましたが、中ソ間の協定に基づき1951年2月には中華人民共和国に引き渡されました。戦後、この港は日本人の重要な引き揚げ港の一つとなり、多くの人々がここから帰国しました。1960年には対外開放港として再スタートし、国際的な港湾としての活動を本格的に再開しました。

大連新港

大連港の機能分散・強化のため、大連湾の対岸に位置する大連開発区の大窯湾側に、1976年に大連新港が開港しました。新港は主に造船や、石油・鉱石といった特定の貨物を取り扱う施設として整備が進められました。この新港関連施設やその近隣では、過去に石油流出事故などの環境問題も発生しています。

大連市周辺には、旅順口区に山東省煙台市への渤海鉄道フェリーが運航する港や、旅順新港など、比較的大規模な港湾が複数存在します。

友好港・相互交流港

大連港は国際交流を積極的に行っており、日本を含む6カ国の12港と友好港または相互交流港の関係を構築しています。日本の港では、福岡県の博多港（相互交流港）、北九州港（友好港）、神奈川県の横浜港（友好港）などと提携しています。

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