大野安之

大野 安之

大野 安之（おおの やすゆき）は、1960年2月6日に埼玉県で生まれた日本の漫画家です。東京農業大学造園学科を卒業し、水瓶座、O型というプロフィールを持っています。

彼の漫画家としてのキャリアは、1982年に発表された「パイナップル・クラッシュ」で始まりました。活動初期には、おおのやすゆきという別のペンネームを使用していた時期があります。また、同人誌の世界ではヤスマロ・ヲヲノや大野安麻呂子といった名義を使い分け、特に猟奇的なテーマの作品を発表する際には、わいを〜というペンネームを用いています。小池一夫が主宰した劇画村塾の第三期生でもあり、山本直樹氏や堀井雄二氏らも同期生として名を連ねています。

商業誌での活動は多岐にわたり、角川書店、笠倉出版社、日本出版社、蒼竜社、アスペクト、少年画報社など、多くの出版社で作品を発表してきました。漫画執筆にとどまらず、小説の装画や挿絵、さらにはCG作品の制作も手掛けるなど、幅広い分野でその才能を発揮しています。並行して、同人誌の発行も精力的に行っています。

アニメーション分野での貢献もあり、1998年にはテレビアニメ『時空転抄ナスカ』（制作：RADIX）において、おおのやすゆき名義でコンセプトビジュアルを担当しました。さらに、2007年のテレビアニメ『鋼鉄三国志』（アニメーション制作：ピクチャーマジック）では、大野安之名義で美術コンセプトワークを務めています。

作風の変遷と特色

デビュー当初の作品に見られる絵柄は、勢いのあるラフな筆致とアニメ的な要素を融合させた独特な劇画タッチであり、内容はスラップスティックコメディの要素が強いものでした。しかし、代表作の一つである「That's!イズミコ」の連載が始まると、作品世界は次第にSFやファンタジーの要素を取り入れ、コミカルな表現とシリアスな展開、そして幻想的な雰囲気が入り混じるようになります。時にはコラージュといった手法を用いた、実験的とも冗談とも受け取れるような作品も手掛け、描く題材に応じて表現スタイルを自在に変化させていきました。

この時期には、後に彼の作品を特徴づけることになる官能耽美、猟奇、ミリタリー、巨大ロボット、ショタ、スチームパンクといった多様なジャンルや要素が既に萌芽していたと言えるでしょう。また、Macintoshを漫画制作に導入したのもこの頃からです。「イズミコ」のバイ・ポーラー編で構築された精霊の住む地といった世界観は、後の「精霊伝説ヒューディー」などの作品にも受け継がれ、共通の世界観を作り上げていく重要な要素となっています。

作品の構成における特色として、初期作品群ではスピンオフの手法が多く見られます。まず短編を習作や叩き台として描き、そこから本編となる長編へと発展させるという形です。「バランタインBANG-BANG」から「That's!イズミコ」へ、「The Ruiner」から「Lip☆」へ、そしてバイ・ポーラー編を経て「暗潮」「革命祭」、さらには「精霊伝説ヒューディー」へと繋がる流れがその例です。

中期以降の作品では、「精霊伝説ヒューディー」と「外伝ローティスなあじゃ」の関係性がこれに該当します。また、「素子・クリスティーナ・ジョセフソンさんの野望とその実際」から同人誌作品を経て商業出版された「超電寺学園きらきら」へ、あるいは「超鉄大帝テスラ」から「That's!イズミコ おかわり」へと、同一のキャラクター群が複数の作品に登場するスター・システムや、異なる作品世界が交差するクロスオーバーも作品の大きな特色となっています。

主な商業刊行物

That's!イズミコ (1) - (6)（スタジオシップ/1984-1987）
Lip☆（夢元社/1987）
SCENE（笠倉出版社/1988）
ゆめのかよいじ（少年画報社/1988）
精霊伝説ヒューディー (1) - (3)（角川書店/1989-1991）
精霊伝説ヒューディー外伝 ローティスなあじゃ（メディアワークス/1995）
深く静かに沈没せよ「ああ栄光と愛と正義と平和と自由の戦死たち」（日本出版社/1993）
西武新宿戦線異状なし DRAGON RETRIEVER（日本出版社/1994）原作：押井守
超鉄大帝テスラ(1)（アスキー・アスペクト/1999）原作：大塚英志
超鉄大帝テスラ 上・下（角川書店/2000）原作：大塚英志
超電寺学園きらきら（蒼竜社/2002）
That's! イズミコ ベスト（復刊ドットコム/2013）

商業出版以外にも、同人サークル「命令電波」として多数の同人誌を発行しており、そこでも独特な世界観の作品を発表し続けています。

外部リンク

命令電波 別館
大野安之 - pixiv
大野安之 (@pewowo) - X（旧Twitter）
大野安之：公開作品 - マンガ図書館Z

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