大野徹也

大野徹也は、1953年7月17日生まれの日本のテノール歌手です。その歌声は、ドラマティックな表現を得意とするテノーレ・リリコ・スピントと評されています。彼は、公益財団法人東京二期会の理事、二期会幹事・会員、日本声楽アカデミー会員、ぐるーぷ・なーべ会員、そして東京学芸大学の名誉教授という多くの肩書を持っています。

福岡県八幡市（現在の北九州市八幡西区）出身の大野は、1977年に二期会公演『魔笛』で武士役としてオペラデビューを果たしました。その後、福嶋敬晃、渡辺高之助、三村祥子、カルロ・ベルゴンツィといった名だたる声楽家に師事し、研鑽を積みました。

1972年に福岡県立東筑高等学校を卒業後、東京藝術大学に入学。1976年に同大学を卒業し、大学院へと進みました。1980年に大学院を修了。1981年には第16回民音コンクール（現在の東京国際音楽コンクール）で第2位入賞、1982年には第1回飯塚新人音楽コンクールでグランプリを受賞するなど、若くしてその才能を開花させました。

1981年の二期会公演『カーチャ・カバノヴァ』でのボリス役の成功は、彼を一躍有名にしました。1983年には、二期会公演のワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』第2夜『ジークフリート』でタイトルロールを歌い、ヘルデン・テノールとしての評価を確立しました。1984年から1987年にかけて、朝比奈隆指揮の新日本フィルハーモニー交響楽団定期演奏会では、『ニーベルングの指環』全4作を歌い、その地位を不動のものとしました。特にジークムント役は、1985年を含め計6回も舞台に立っています。

ワーグナー作品以外にも、モーツァルト、ベルク、リヒャルト・シュトラウス、ツェムリンスキー、ライマンなどのドイツオペラ、ビゼー、サン＝サーンス、オッフェンバックなどのフランスオペラ、ヴェルディ、プッチーニ、マスカーニ、レオンカヴァッロなどのイタリアオペラ、そして山田耕筰、松村禎三、林光、三木稔、丹波明などの日本オペラと、幅広いジャンルの作品を手がけています。

オペレッタにおいても、ヨハン・シュトラウス2世、レハール、カールマン、オッフェンバックなどの作品に出演し、歌役者としての評価も高く、コンサートでは、NHK交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団などの主要オーケストラと共演し、ベートーヴェン、モーツァルト、ヴェルディ、ドヴォルザーク、ブリテン、ヤナーチェク、マーラー、シェーンベルクなどの作品を歌い上げています。

1997年には、作曲家金田潮兒や声楽家鎌田直純と共に『新作歌曲の会』を立ち上げ、1998年の第1回演奏会を皮切りに数々の歌曲を初演。2000年からは偶数年にリサイタルを開催し、好評を博しています。

教育者としても、1980年から2019年にかけて東京学芸大学に奉職し、多くの声楽家や音楽教育者を育成しました。2008年度から2009年度にかけては、芸術・スポーツ科学系長として学内運営にも大きく貢献しました。

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