カルロ・ベルゴンツィ

カルロ・ベルゴンツィ（Carlo Bergonzi, 1924年7月13日 - 2014年7月25日）は、イタリアの著名なテノール歌手であり、その美しい声質とヴェルディ作品への深い理解で、世界中のオペラファンを魅了しました。

イタリアのポレージネ・パルメンセで生まれたベルゴンツィは、アリゴ・ボーイト音楽院（パルマ）で音楽を学びました。1948年にはバリトン歌手としてオペラデビューを果たしましたが、声質の変化に気づき、研鑽を重ねた結果、1951年にテノール歌手として再デビューを飾ります。ジョルダーノ作曲の『アンドレア・シェニエ』タイトル・ロールを歌い、その成功によってテノールとしての地位を確立しました。

その後、1953年にはミラノ・スカラ座、1956年にはアメリカ・メトロポリタン歌劇場という、世界を代表する歌劇場でデビューを果たし、国際的なスターとしての階段を駆け上がりました。同世代のフランコ・コレッリと共に、イタリア・オペラ界を支える重要な存在として、数々の公演や録音で活躍しました。

ベルゴンツィは、役柄への深い理解と徹底した自己管理によって、常に高いレベルのパフォーマンスを維持しました。その結果、声の艶を長く保ち、21世紀に入ってからもコンサート活動を続けることができました。1967年のNHKイタリア歌劇団の公演を皮切りに、日本へも度々来日し、ドニゼッティ作曲『ランメルモールのルチア』のエドガルド、ヴェルディ作曲『仮面舞踏会』のリッカルド、『アイーダ』のラダメスなど、数々の得意な役を披露し、日本のオペラファンを魅了しました。2001年にはリサイタルを開催し、80歳近い年齢とは思えないほどの素晴らしい歌声を披露しました。

ベルゴンツィは、ヴェルディのオペラで特に高い評価を受けました。『ドン・カルロ』のタイトル・ロール、『運命の力』のドン・アルヴァーロ、『イル・トロヴァトーレ』のマンリーコ、『ラ・トラヴィアータ』のアルフレード、『マクベス』のマクダフなど、主要な役柄を数多く歌いこなしました。ヴェルディ作品以外にも、プッチーニ作曲『トスカ』のカヴァラドッシ、『ラ・ボエーム』のロドルフォ、チレア作曲『アドリアーナ・ルクヴルール』のマウリツィオ、レオンカヴァッロ作曲『道化師』のカニオなど、ヴェリズモ・オペラの分野でも重要な役を演じました。

2000年5月には、ニューヨークのカーネギー・ホールで、コンサート形式のヴェルディ『オテロ』タイトル・ロールに、75歳という高齢で初めて挑戦し、大きな話題となりました。しかし、残念ながらこの公演を最後まで歌い切ることはできませんでした。

2014年7月25日、カルロ・ベルゴンツィはミラノで亡くなりましたが、その歌声と業績は、今もなお多くの人々に愛され、称えられています。

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