大野旅客自動車

会社概要

福井県大野市に本社を構えるバス事業者、大野観光自動車株式会社について解説します。地域に根差した路線バス事業を中心に、市町村からの受託運行、さらにはグループ会社を通じて高速バス事業も手掛けるなど、奥越地域の公共交通網において重要な役割を担っています。

路線バス事業

大野観光自動車の路線バス事業は、2004年にその運行を開始しました。福井県大野市内を主要な運行エリアとし、越前大野駅を起点とする4つの路線を運行しています。これらの路線では、大野市全域で利用者の予約に応じて運行するデマンド方式を採用しており、地域住民のきめ細やかな移動ニーズに対応しています。

また、同社は大野市から委託を受け、大野市営バスの一部路線の運行を担っています。さらに、大野市街地を巡回する「まちなか循環バス（ゆう・ゆうバス）」についても、その一部路線の運行を受託しています。これらの受託事業を通じて、大野市内の中心部や公共施設へのアクセスを支援し、地域内の利便性向上に貢献しています。

近年、大野観光自動車は受託事業の拡大も行っています。2024年4月からは、京福バス株式会社が運行する一般路線バスのうち、勝山大野線の一部系統の運行を受託しました。具体的には、福井勝山総合病院とヴィオを結ぶ46系統や、その区間便である44系統が含まれます。同年10月からは、済生会病院・美山駅方面から越前大野駅を経由してヴィオへ至る58系統（大野線に新設された区間運転系統）の運行受託も開始しています。これらの京福バス受託路線においては、京福バスが所有する車両がそのまま使用され、ICOCAを含む全国相互利用可能な交通系ICカードが利用可能となっています。

さらに、2024年4月からは福井市が運営する「美山地域バス」の運行も受託しています。これはコミュニティバスとスクールバスを兼ねる混乗路線であり、地域住民の生活交通と学生の通学を支えています。この路線では福井市が所有する自家用マイクロバスが使用されています。

高速バス・ツアーバス事業

大野観光自動車株式会社の関連事業として、グループ会社である大野観光自動車が高速バスおよびツアーバスの運行を担っています。このグループ会社は、福井県内を発着地とする東京方面などへのツアーバス運行を積極的に行ってきました。

2013年に国土交通省によって「新高速バス制度」が施行された後、同社は高速路線バス事業への参入を本格化させました。現在は、株式会社オー・ティー・ビーが企画・運行する高速路線バスブランド「オリオンバス」の受託運行を行っています。オリオンバスとして大野観光自動車が運行する主な路線は、東京ディズニーランド、東京駅（鍛冶橋）、バスタ新宿といった首都圏の主要ターミナルと、金沢駅金沢港口（西口）や福井駅東口を結ぶ区間です。これにより、福井・石川両県と首都圏との間の広域移動手段を提供しています。

大野観光自動車株式会社およびそのグループ会社は、地域内の路線バス、市町村委託バス、そして都市間高速バスという多岐にわたるバス事業を展開しており、利用者の多様なニーズに応える公共交通事業者としての役割を果たしています。

もう一度検索