大野村 (福島県双葉郡)

大野村（おおのむら）

福島県双葉郡に位置した大野村は、明治時代に誕生し、昭和の半ばまで存続した村です。具体的には、1889年（明治22年）4月1日の町村制施行に伴い、大川原村、野上村、下野上村の三つの村が合併して発足しました。当初は標葉郡に属していましたが、後に郡の再編を経て双葉郡の一部となりました。この村は、1954年（昭和29年）11月1日に隣接する熊町村と合併し、現在の大熊町の一部、特にその西部に位置する地域へと姿を変えました。

地理

大野村が広がっていた地域は、豊かな自然に囲まれた山間部です。村の周囲には、標高676メートルの三郡森をはじめ、東大森（標高669.5メートル）、日隠山（標高601.5メートル）といった山々が連なります。また、村内を流れる河川としては、熊川や夫沢川があり、これらの水系が地域の生活や景観に関わっていました。

歴史（沿革）

大野村の歴史は、明治時代初期の地方制度改革に始まります。1889年の町村制施行により、それまで独立していた三つの村が統合され、「大野村」として誕生しました。戸数204戸、人口1,303人でスタートしました。その後、1896年（明治29年）4月1日には、標葉郡と楢葉郡が合併して双葉郡が新設されたことに伴い、大野村は双葉郡に属することになりました。村にとって重要な出来事としては、1904年（明治37年）の国鉄（現在のJR）常磐線の大野駅開業が挙げられます。これにより、村の交通利便性が向上し、人々の往来や物資輸送を活発化させました。そして、約65年後の1954年（昭和29年）11月1日、大野村は隣の熊町村と合併し、新たな自治体「大熊町」の一部となりました。

教育

村は教育にも力を入れており、地域の子どもたちの学びを支える複数の学校が設置されていました。大野村立大野小学校は、中心的な存在として、子どもたちの基礎教育を担いました。広範な地域に対応する大野村立大野小学校中屋敷分校も設けられました。さらに、義務教育の後期課程を担う大野村立大野中学校があり、中等教育を支えました。高等教育への接続としては、福島県立浪江高等学校大野分校が存在し、地域に高等学校教育の機会を提供しました。

交通

村の交通において最も重要な役割を担ったのは鉄道でした。村内には国鉄常磐線が通っており、その駅の一つとして大野駅が設置されていました。1904年に開業した大野駅は、村の中心的な交通拠点として、住民の移動や物流を支えました。常磐線は外部地域との重要な連絡手段となりました。

現在

現在、かつて大野村であった地域は、大熊町の一部として新たな歴史を刻んでいます。その自然や歴史は、現在の大熊町を形成する重要な要素です。

（参考文献：『大熊町史』第一巻など）

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