大野駅

大野駅（おおのえき）

福島県双葉郡大熊町下野上の字大野に位置する、東日本旅客鉄道（JR東日本）常磐線の鉄道駅です。

歴史

この地域の鉄道開業時、富岡駅と長塚駅（現在の双葉駅）が設置されましたが、当時の大野村からはどちらの駅も離れており、村民にとって不便な状況でした。これを受け、1903年（明治36年）に大野村議会では、駅の設置を村として請願することを議決しました。その際、駅用地となる土地3600坪を村が買収し、それを日本鉄道株式会社へ無償で譲渡する一方で、駅舎などの設置工事は村が請け負うという契約が結ばれました。

こうした経緯を経て、1904年（明治37年）11月3日には駅の竣工開通式が執り行われ、同年11月22日に日本鉄道の駅として正式に開業しました。

その後、1906年（明治39年）11月1日には鉄道国有法に基づき日本鉄道が買収され、大野駅も官設鉄道の所属となりました。1909年（明治42年）10月12日には線路名称が制定され、常磐線の一部となりました。

鉄道運行の歴史においては、いくつかの事故も発生しています。1928年（昭和3年）3月4日には、この駅から夜ノ森駅方面へ向かう区間にある熊川橋梁で貨車が線路から転落する事故がありました。また、1957年（昭和32年）5月17日には、この駅と長塚駅（現在の双葉駅）の間を走行していた下り急行「北上」が脱線し、死傷者が出る重大事故（常磐線急行「北上」脱線事故）となりました。

戦後、1949年（昭和24年）6月1日に日本国有鉄道（国鉄）が発足し、その所属となります。駅の機能面では、1972年（昭和47年）10月2日に貨物の取り扱いが廃止され、1984年（昭和59年）2月1日には荷物の扱いも終了し、旅客駅としての性格が強まります。

輸送力の増強としては、1976年（昭和51年）2月23日に大野駅と双葉駅の間の複線化が完成しました。

1985年（昭和60年）には大熊町長より国鉄に対し、橋上駅舎化に関する請願書が提出され、翌1986年（昭和61年）には具体的な建設について提示が行われました。国鉄分割民営化を経て、1987年（昭和62年）4月1日に東日本旅客鉄道（JR東日本）の駅となった後、同年8月20日には工事協定が締結されます。そして、1988年（昭和63年）3月30日には自由通路を含む新しい橋上駅舎の利用が開始されました。駅機能の向上としては、1995年（平成7年）10月1日にみどりの窓口が設置されています。

東日本大震災とその後の変化

2011年（平成23年）3月11日に発生した東日本大震災およびそれに続く福島第一原子力発電所事故により、常磐線の一部区間とともに営業を休止しました。地震によって駅舎の天井板が一部剥がれ落ちる被害も出ています。

福島第一原発事故の影響で、駅周辺は大半が帰還困難区域に指定されましたが、駅とその周辺は特定復興再生拠点区域として先行的に避難指示が解除されることになりました。2020年（令和2年）3月5日には駅構内と駅前の避難指示が解除され、自由な立ち入りが可能となりました。

これを受けて、2020年（令和2年）3月14日には、富岡駅と浪江駅間の運転再開に伴い、大野駅も営業を再開しました。営業再開と同時に東京近郊区間に編入され、ICカード「Suica」の利用が可能となりました。また、「Smart Station for EXPRESS」が導入されたことで駅員が配置されない無人駅となり、みどりの窓口は廃止されました。同時に、震災前は複線だった当駅と双葉駅の間は、上り線の敷地を非常時の避難道として活用するため、単線での運転となりました。

2024年（令和6年）10月1日からは、インターネット予約サービス「えきねっと」の「えきねっとQチケ」が利用できるようになっています。

駅構造

現在は単式ホーム1面1線を有する地上駅ですが、線路の上空に駅舎が設置された橋上駅となっています。現在の駅舎は1987年（昭和62年）に改築されたもので、エレベーターも設置されています。

東日本大震災前は島式ホーム1面2線を有し、大野駅と双葉駅の間は複線でしたが、前述の通り震災後の運転再開時に単線化され、ホームも片側のみが使用される形になりました。

無人駅であるため、乗車券の購入や特急券の予約には「話せる指定席券売機」が設置されており、乗降時には簡易Suica改札機を利用します。

利用状況

JR東日本によると、2000年度（平成12年度）から2010年度（平成22年度）にかけての1日平均乗車人員が公表されています。2011年（平成23年）3月11日から2020年（令和2年）3月13日までの営業休止期間中は統計がありません。また、2020年3月14日の営業再開以降は無人駅となったため、それ以降の正確な利用状況の統計値は公表されていません。

駅周辺

大熊町の中心部に位置しており、国道を挟んで東側には福島第一原子力発電所があり、かつてはその最寄り駅でした。

駅周辺は福島第一原子力発電所事故による帰還困難区域に含まれていましたが、駅構内および駅前広場は特定復興再生拠点区域として先行的に避難指示が解除されており（2020年3月5日）、自由に立ち入ることができます。駅から主要な周辺地域へ通じる道路も通行可能です。これ以外の周辺部の特定復興再生拠点区域についても、2022年（令和4年）6月30日に避難指示が解除されています。

地域の復興のシンボルとして、2025年（令和7年）3月15日には駅西口に大熊町が整備した商業施設「クマSUNテラス」と産業交流施設「CREVAおおくま」がグランドオープンする予定です。

バス路線

駅前からは、新常磐交通による富岡方面や浪江方面への路線バスが運行されています。

隣の駅

東日本旅客鉄道（JR東日本）
■常磐線
特急「ひたち」の停車駅です。
普通列車：夜ノ森駅 - 大野駅 - 双葉駅

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