大金益次郎

大金益次郎は、1894年（明治27年）に生まれ、1979年（昭和54年）に84歳で亡くなった日本の官僚です。栃木県出身で、旧制大田原中学、二高を経て、1919年（大正8年）に東京帝国大学法学部を卒業後、内務省に入省しました。

内務省では、大阪府保安課長や京都府地方課長などを歴任し、1927年（昭和2年）に宮内省へ移りました。宮内省では、宮内大臣秘書官、侍従、総務局長などを務め、1945年（昭和20年）には宮内次官に就任しました。翌1946年（昭和21年）には、戦後初の侍従長に任命され、昭和天皇の信頼が厚く、全国巡幸では、宮内大臣の松平慶民、宮内次官の加藤進と共に、巡幸の企画・立案・随行の中心人物として活躍しました。

また、侍従在任中には、昭和天皇の特使として、昭和三陸地震の被災地を精力的に訪れ、被災者へ天皇からの御下賜金を渡して回りました。この行動は、被災者にとって大きな心の支えとなりました。

1948年（昭和23年）に侍従長を退任した後は、日本銀行監事や済生会理事長などの要職を歴任しました。1953年7月には、接収解除貴金属及びダイヤモンド関係事件に関して、衆議院行政監察特別委員会に証人喚問されました。公務を退いた後も、その経験と知識を活かし、社会に貢献しました。

1979年（昭和54年）2月11日、肝不全のため国立東京第二病院で生涯を閉じました。その生涯は、激動の昭和時代において、天皇を支え、国民のために尽力した官僚の姿を示すものでした。

著書として『巡幸余芳』（新小説社、1955年）があり、序文は金森徳次郎が執筆しました。

大金益次郎は、その功績により、1931年（昭和6年）3月20日に帝都復興記念章、1940年（昭和15年）8月15日に紀元二千六百年祝典記念章を授与されています。これらの栄典は、彼の公務における貢献を称えるものです。

参考文献として、戦前期官僚制研究会編 / 秦郁彦著『戦前期日本官僚制の制度・組織・人事』（東京大学出版会、1981年）が挙げられます。

大金益次郎の生涯は、日本の近代史における官僚の役割と、天皇との関係を理解する上で重要な資料となっています。

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