大関久五郎

大関久五郎

大関久五郎（おおせき きゅうごろう、1875年 - 1918年）は、明治から大正にかけて活躍した日本の地理学者です。特に氷河地形研究の分野において、「氷河地形研究のファイター」と呼ばれるほどの情熱と功績を残しました。

生涯

1875年、青森県に生まれた大関は、青森県師範学校を卒業後、湊尋常小学校の訓導となります。その後、東京高等師範学校（現・筑波大学）に進学し、三宅米吉や矢津昌永といった当時の著名な地理学者から指導を受けました。1901年に卒業後は、高等師範学校助教諭兼訓導として、附属中学校で地理を教える傍ら、山崎直方の指導のもと、調査・見学旅行に同行するなど、研究者としての道を歩み始めます。

1912年、大関は文部省の命によりドイツとアメリカへの留学を果たし、ベルリン大学でアルブレヒト・ペンク、アルフレート・リュール、ハンス・シュペートマンといった世界的な地理学者から学びました。留学中には、アルプス東部で氷河の実測調査を自ら行い、国際地理学会議にも参加するなど、積極的に研究活動を展開しました。第一次世界大戦勃発により留学を切り上げ帰国。

帰国後は、東京高等師範学校の教授として教鞭を執る傍ら、日本の氷河地形研究に本格的に取り組みました。擦痕のあるヘットナー石の発見や、小川琢治らによる低位置氷河説の提唱を契機に、氷河地形の形成過程について独自の考察を展開しました。上高地盆地における圏谷や渓谷氷河の存在、飛騨山脈における羊群岩の発見、月山の万年雪の調査などを通して、日本の氷河地形研究に大きく貢献しました。特に、氷食によって形成されたと考えられる地形の指摘は、当時の学界に大きな影響を与えました。

地理教育者としても熱心であり、数多くの地理教科書を執筆し、地理教育の発展に尽力しました。

1918年、文部省視学委員として北海道に出張中、釧路にて44歳の若さで亡くなりました。その死後、日本の氷河研究は一時的に停滞しましたが、大関の残した業績は、その後の日本の地理学研究に大きな影響を与え続けています。

主な業績

日本の氷河地形研究
上高地盆地、飛騨山脈、月山などにおける氷河地形の発見と研究
氷食地形の形成過程に関する考察
地理教育
多数の地理教科書の執筆

著作

『中等地理 本邦編』(1906年)
『中等地図 本邦之部』(1906年)
『新編 中等地理 外国編』(1912年)
『新編 中等地理 本邦編』(1912年)
『中等地図』（本邦之部・外国之部）(1913年)
* 『中等教育 地理教科書』（本邦編・外国編）(1916-1917年)


大関久五郎は、日本の地理学、特に氷河地形研究の発展に大きく貢献した先駆者であり、その情熱と探求心は、後世の研究者たちに受け継がれています。

もう一度検索