大阪ワイン

大阪ワインとは

大阪ワインは、大阪府内で栽培されたブドウを原料とし、府内で醸造されるワインです。日本の地理的表示としては「大阪」と定められています。近畿地方では奈良県を除く2府3県でワインが造られていますが、大阪府は8軒と最多のワイナリー数を誇ります。生産量は近畿地方で最も多いものの、日本全体から見るとごくわずかです。

ブドウ品種

大阪府では、デラウェアの栽培が最も盛んで、山梨県、山形県に次いで日本3位の生産量を誇ります。その他、マスカット・ベーリーA、メルロー、ナイアガラなどの品種も栽培されています。

GI OSAKAの生産基準

大阪ワインとして認められるためには、以下の生産基準を満たす必要があります。

大阪府産のブドウのみを使用し、大阪府内で製造から瓶詰まで行うこと。
使用するブドウ品種は、デラウェア、甲州、マスカット・ベーリーAなど指定された36品種であること。
指定された糖度以上のブドウのみを使用すること。
アルコール度数は、辛口が9%以上、甘口が4.5%以上であること。
補糖、補酸等には一定の制限があること。

大阪ワインの特徴

大阪ワインの特徴として、以下の点が挙げられます。

大阪で培われた食用ブドウ栽培技術を活かし、新鮮で美しいブドウをワイン造りに使用している。
凝縮された果実味と穏やかな酸味、程よい旨味を感じられ、心地よい余韻が残る。
食事との相性が良い。
食用ブドウ品種以外を原料とした白ワインは、豊かでフルーティーな香りがあり、柔らかな味わいながらしっかりとした飲みごたえがある。
赤ワインは、芳醇な香りと柔らかな果実味が、程よいタンニンによって引き締められ、しっかりとしたボディが感じられる。

大阪ワインの歴史

前史

大阪でのブドウ栽培は、安土桃山時代に豊臣秀吉のころに始まったとされています。この頃には、ブドウからブドウ酒らしきものが造られていたという記録も残っています。

1801年には、富田林がブドウの産地であるという記述が残っています。1851年ごろには、現在の大阪市で栽培されていたブドウの品種が記録されており、生食用として栽培され、ごくわずかが加工されていました。

明治・大正・昭和

明治時代に入ると、木綿の栽培が衰退したため、代替としてブドウ栽培が奨励されました。1878年ごろには、甲州の苗が移植され、中河内、南河内地域にブドウ栽培が広がりました。ブドウの収益は他の作物よりも高く、1899年にはアメリカ系の品種も栽培されるようになりました。大阪鉄道の開業も販売拡大に貢献しました。

大阪府河内地方でワイン醸造が始まったのは大正時代からです。当初は、規格外のブドウや台風被害を受けたブドウを活用することから始まりました。1914年には、カタシモワイナリーが設立され、現在も西日本最古のワイナリーとして存続しています。温室栽培も始まり、昭和初期にはブドウ栽培面積が日本一になったこともありました。

第二次世界大戦中は、温室が撤去されるなどの影響がありましたが、ワイン醸造は軍需物資の生産にも貢献しました。1934年の室戸台風被害の救済策としてワイン醸造が特別に許可され、大阪のワイン文化発展のきっかけとなりました。しかし、その一方で、ブドウ畑の宅地化も進みました。

その後、他の地域との競合やブドウ需要の減少により、ブドウ栽培は衰退していきました。1956年には、ブドウ農家が観光農園に転換する動きが見られ、1960年には種無しブドウの生産も始まりました。

平成以降

1988年には、地元のブドウでワインを造るワイナリーが設立されましたが、2000年代まではワイナリー数は5軒にとどまっていました。2004年以降の日本ワインブームを受け、2013年には大阪市内にワイナリーが設立され、耕作放棄地を活用したワイン造りが始まりました。

また、2013年には大阪ワインのブランドを確立し、ブドウ生産者を支援することを目的に大阪ワイナリー協会が設立されました。

大阪のブドウ栽培面積は、1935年ごろには1000ヘクタール近くありましたが、その後減少を続け、2021年時点では約470ヘクタールとなっています。収穫量も減少していますが、単位面積あたりの収穫量は日本2位であり、大阪府内では温州ミカンに次いで2番目に多い果実です。