大阪万博の交通

大阪万博の交通

1970年に開催された大阪万博は、同年の3月15日から9月13日までの183日間にわたり、6421万8770人の来場者を記録しました。これは国際博覧会史上、第二位の来場者数であり、多くの人々を効率的に輸送するための交通機関の整備が不可欠でした。万博開催決定後の1965年に、財団法人日本万国博覧会協会が設立され、交通機関や都市インフラの急速な整備が始まりました。

万博会場内の交通機関

モノレール

万博会場内には、モノレール（愛称：万国博モノレール）が運行され、会場を環状に巡る路線が設けられました。1968年4月には敷設免許が申請され、翌年の万博開幕前日に開業しました。このモノレールは、天皇ご夫妻も利用された特別列車を運行するなど、万博期間中に重要な役割を果たしました。

設備と車両

モノレールは自動列車運転装置（ATO）を採用しましたが、安全性を考慮して操縦士が乗務していました。デザインは榮久庵憲司によるもので、先頭車両は独特なスラントノーズデザインが施され、内部は座席が外国人向けに配慮されていました。しかし、冷房装置は搭載されていませんでした。運行終了後は、モノレールは横浜市のこどもの国への移設計画がありましたが、実現しませんでした。

レインボーロープウェイ

万博会場の西口から万国博ホールを結ぶ滑走路用ロープウェイも運行していました。ゴンドラは22台あり、平均30mの高さを保ちながらただの移動手段だけでなく、展望も楽しめるようになっていました。

動く歩道

展示ブロック間の移動を支援するための動く歩道も整備され、観客は疲れにくく効率的に会場を観覧できました。

会場へのアクセス

鉄道

万博開催にあたり、大阪市営地下鉄と北大阪急行電鉄の間で臨時の連絡線が運行されました。梅田駅から万国博中央口駅までのアクセスが24分で、多くの来場者を運ぶ重要な役割を担いました。また、各種臨時列車も設定され、万博開催中には驚異的な数の来場者を効率的に輸送しました。

バス

万博と関連した多くのバス路線が設定され、高速バスも名古屋と大阪を結ぶ便が運行されました。さらに、地元のバス会社による「ピストンバス」が頻繁に運行され、万博へのアクセスをスムーズにしました。特に、国鉄の茨木系統のバスが非常に利用されたことが印象的です。

航空及び船舶

万博開催に伴い、大阪国際空港も拡充され、チャーター便などが利用されました。海上でも、客船が万博見物客を運ぶため港湾施設の整備が行われ、数多くの外国人観光客が訪れました。

総括

大阪万博における交通インフラの整備は、観客を効率良く会場に運ぶための重要な要素でした。モノレールやレインボーロープウェイといった新しい交通手段が導入される一方で、既存の鉄道やバス路線の活用も進み、万博成功の一助となったのです。50年後の2020年には、大阪モノレールで万博の記念塗装が施された編成も運行が開始され、当時の記憶を新たにしました。

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