大阪市交通局30系電車

大阪市交通局30系電車

大阪市交通局30系電車は、1967年から1984年にかけて製造された、大阪市営地下鉄(高速電気軌道)用通勤形電車です。1970年の大阪万博の輸送需要増加に対応するため、大量投入されました。本形式には、先行して製造された7000形・8000形電車と、北大阪急行電鉄向けに製造された7000形・8000形電車(初代)も編入されています。

開発の背景

[1967年]]、大阪市営地下鉄2号線(谷町線)と4号線(中央線)が開業。地上信号方式のWS-ATCと[[列車集中制御装置]が市営地下鉄で初めて採用されました。この開業に合わせ、2両編成9本(7001F～7009F)の7000形・8000形が製造されました。これが30系の試作車的な役割を果たしました。

1970年の大阪万博開催が決定すると、大阪市は地下鉄網の整備を急ぎました。特に、万博会場へのアクセス強化のため、既存の1号線(現・御堂筋線)の延伸と北大阪急行電鉄線との相互乗り入れが計画されました。

当時の1号線では、老朽化が進む吊り掛け駆動方式の車両が多く運用されていました。万博輸送に対応するには、輸送力の大幅な増強が必要でした。そこで、大阪市交通局長・今岡鶴吉は、最新鋭のWS-ATCに対応した新型車両を大量に導入する決断を下しました。

車両設計

30系は、7000形・8000形を基本設計に、運用実績を反映して改良を加え製造されました。車体長18m、4つの両開き扉を持つ車体構造は、アルミ車とステンレス車の2種類が採用されました。これは、当時の製造技術の比較検討と、より多くの製造会社への参加を促すためでした。

窓配置は、運転台付き車両がdD2D2D2D1、中間車が1D2D2D2D1(d:乗務員扉、D:客用扉)で、片側に4カ所の客用扉を備えています。扉位置は軽量化のため、台車ボルスタ位置を避けて配置されました。屋根は製造工程の簡素化のため単純な形状が採用され、照明は蛍光灯を直接露出させる方式とされました。

前面デザインは、ATC機器搭載スペースの確保のため左側の窓が小型化され、番号板が取り付けられました。貫通路幅は狭められましたが、左右の前面窓の上辺を揃えるなど、当時としては斬新なデザインが採用されました。

8両固定編成では、中間車に簡易運転台が設置され、様々な運用パターンに対応できる柔軟な設計がなされていました。

主要機器

主電動機は、東芝SE-540を採用。WNドライブ方式で、歯車比は103:14=7.36です。主制御器は、日立製作所製MMC-HTB-20Dを搭載し、1C8M方式を基本としつつ、1C4M制御にも対応可能でした。

台車は住友金属工業製FS-366/366A、KH-54/54Bと[日立製作所]]製KH-54/54B、KH-62/62Aを採用。アルミ車用台車は軽量化が図られていました。ブレーキは、三菱電機製[[電気指令式ブレーキ]が採用されました。

運用

30系は、大阪市営地下鉄の5路線(御堂筋線、谷町線、四つ橋線、中央線、千日前線)で運用されました。御堂筋線では8両・9両編成で、他路線では主に6両編成または4両編成で運用されました。

各路線への配置は、時期や車両の種類によって変動しました。特に、御堂筋線では、万博輸送をピークに多くの30系が活躍しましたが、後に新型車両への置き換えが進みました。

冷房化と更新

1992年から1996年にかけて、新30系の一部車両が冷房化改造されました。座席や内装なども更新され、乗客の快適性向上に努められました。しかし、冷房化がされない初期の車両は老朽化も進み、新型車両に置き換えられました。

廃車と保存

1991年から廃車が始まり、2013年には全車両の営業運転が終了しました。現在、3042号車(森之宮車両管理事務所)と3062号車(緑木車両管理事務所)が静態保存されています。

まとめ

大阪市交通局30系電車は、大阪万博の輸送需要に対応するため開発・製造された地下鉄車両です。アルミ車とステンレス車の両方が存在し、各路線のラインカラーで彩られ、長年にわたり大阪の地下鉄を支えました。その歴史は、大阪の街の発展と深く関わっています。現在では一部の車両が保存され、当時の技術やデザインを後世に伝えています。

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