大阪市交通局5000形電車

大阪市交通局5000形電車：近代化と進化を遂げた地下鉄車両

大阪市交通局5000形電車は、大阪市営地下鉄の路線拡張期において、1960年から1965年にかけて188両が製造された通勤形電車です。既存の1200B形をベースに設計されながら、近代的なデザインと技術を取り入れた車両として登場しました。

車両の概要と特徴

5000形は、大阪市営地下鉄初のMM'ユニット方式を採用した電動車であり、第三軌条方式の車両としては日本初となるMM'ユニット車でもあります。これは、制御機器を分散配置することで、車両の効率性と信頼性を高める画期的な技術でした。94ユニット188両が、当時建設されていた地下鉄全路線で活躍しました。

車体は1200B形を踏襲しつつ、戸袋窓の小型化や広幅貫通路、切妻構造の採用などにより、すっきりとした近代的なデザインとなりました。内装については、初期の車両では荷棚が設置されていませんでしたが、1964年以降の増備車からは戸袋上部に小型の荷棚が取り付けられました。照明設備は、製造当初はアクリル製グローブ付き蛍光灯でしたが、1972年から1984年にかけてグローブが撤去され、灯数も削減されました。

改造と進化

運用開始後、5000形は幾度かの改造を受けています。1968年から1972年にかけては、一部車両にATC車上装置が設置されました。この改造に伴い、助士席側の前面窓が小型化された車両も見られました。また、1970年の大阪万博開催に際しては、VIP輸送用に改造された車両も存在しました。これらの車両は、万博期間中、各国からの賓客輸送に備えて準備されていましたが、実際には使用されることはありませんでした。

1977年の谷町線守口延伸を機に、谷町線車両は6両編成化され、主電動機の出力強化、台車の側梁強化、制動装置の電空併用化などの改造が行われました。また、1984年には中央線の長田延伸と近畿日本鉄道東大阪線直通運転に備え、近鉄線内での非常制動機能や抑速ブレーキが搭載され、編成も4両から6両に組み替えられました。

運用と廃車

5000形は、当初1号線（現・御堂筋線）と3号線（現・四つ橋線）で運用されましたが、1970年の大阪万博での輸送力増強計画に伴い、御堂筋線からの車両の30系への置き換えが行われ、谷町線、中央線、千日前線へ転属しました。その後、1989年から20系、新20系への置き換えが進み、1994年4月に残っていた車両が廃車となり、運用を終了しました。

保存車

5000形は、全車両が廃車されたわけではありません。5085号車が森之宮車両管理事務所に保存されており、2008年の地下鉄開業75周年記念イベントで一般公開されたこともあります。現在は、50系登場時の姿に復元されていますが、照明設備や乗降扉などは更新後の状態のまま残されています。

まとめ

大阪市交通局5000形電車は、大阪市営地下鉄の発展とともに歩んできた車両です。MM'ユニット方式の採用や、様々な改造、そして長きに渡る運用は、地下鉄の歴史において重要な役割を果たしました。保存されている5085号車は、その歴史を今に伝える貴重な証となっています。

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