大阪市交通局6000形電車

大阪市交通局6000形・6100形電車：中央線を彩った個性派車両

大阪市交通局6000形電車は、1961年の中央線（当時は4号線）大阪港～弁天町間開業に合わせて製造された、通勤形電車です。同時期に活躍していた5000形とは異なり、単独での運転を可能とする両運転台構造を採用した点が大きな特徴でした。本項では、増備車として登場した6100形についても詳しく解説します。

6000形（後の800形）

1961年、中央線の開業に合わせて6両がナニワ工機で製造されました。当時、大阪市交通局では5000形がすでに導入されていましたが、5000形は1つの制御器で8つの電動機を駆動する1C8M方式であったため、電動車は2両で1ユニットを構成する必要があり、開業当初の区間では輸送力過剰になる懸念がありました。

そこで、6000形は再び単独運転が可能な両運転台車として設計されました。車体長は5000形より1m長い18mとなり、高架区間を走行することから、小田急電鉄3000形SE車を参考に、オレンジ・グレー・白の3色塗装が採用されました。尾灯は、50系とは異なり前照灯の直下に設置され、涙滴形のケースに両方を収めるユニークなデザインとなりました。

また、開業区間が高架区間のみであったため、クレーン車で車両を吊り上げるという、地下鉄車両としては非常に珍しい搬入方法が採用されました。

6100形（後の900形）

1964年の弁天町～本町間開業に合わせて、ナニワ工機で11両が製造されました。基本的な外観や構造は6000形に準じていますが、同時期に製造された5000・5500形増備車と同様に、雨どいの設置、ベンチレーターの形状変更、車内戸袋部への網棚設置（これに伴い戸袋窓の天地寸法が小さくなった）などの変更が加えられました。

6100形が製造された時点では、港検車場に車両搬入用のクレーンが完成していたため、6000形のような高架線上への吊り上げは行われませんでした。

大阪市営地下鉄では、1200形以降、近畿地方の鉄道事業者では珍しく両開き扉に戸袋窓が設置されていましたが、6100形がその最後の例となりました。

その後の変化

1968年、堺筋線用の60系登場を控え、6000形は800形に、6100形は900形にそれぞれ改称・改番されました（いずれも元の車両番号から5200を引いた番号）。同時に、特徴的だった3色塗装は、当時の標準色であった上半分アイボリー、下半分タクシーイエローのツートンカラーに変更されました。

1969年の本町～谷町四丁目間開業に伴い、中央線全線の保安装置が打子式ATSからWS-ATCに変更されたため、営業運転時に先頭に出る運転台には、車上装置設置の関係で助士席側の前面窓が30系と同様に小型化され、窓の寸法が左右非対称になりました。

また、車両側にラインカラーを表示することになり、1975年頃から塗装がアッシュグリーン地にスペクトリウムグリーン（中央線のラインカラー）の帯へと変更されました。前面については当初、貫通扉に表示していましたが、高架線上での視認性向上のため、後に腰部全体にも追加されました。なお、森之宮検車場配置の50系には、一部谷町・中央・千日前線共通運用となっている車両が存在したため、共通運用解消までラインカラーの表示が遅れていましたが、800・900形は製造の経緯から中央線専用となっていました。この間に、余剰となった911号が1972年3月に廃車されました（車両自体は部品取り車としてその後数年間留置された後に解体）。

後年、固定編成化が進むにつれて、本形式のような1C4M方式の車両は扱いづらい存在となったため、1978年から全車を対象に運転台の撤去と電装解除が行われました。同時に、車内の照明設備も見直され、蛍光灯グローブの撤去や灯数削減が行われました。800形は5800形へ、900形は5900形へそれぞれ改称・改番され（車番は原番に5000を加算）、谷町線所属の50系の中間付随車に転用され、全車が谷町線に転属しました。

その後、谷町線の50系運行終了に伴い、1991年までに全車が廃車されました。

まとめ

6000形と6100形は、中央線の開業と発展を支えた重要な車両でした。独特な外観や構造、そしてその後の改造を経て、最終的には谷町線でその役割を終えました。これらの車両の変遷は、大阪市営地下鉄の歴史を語る上で欠かせないものでしょう。

もう一度検索