大阪市立住吉市民病院

大阪市立住吉市民病院：地域医療への貢献と閉院

大阪市立住吉市民病院は、大阪府大阪市住之江区で地域医療の中核を担っていた病院でした。特に産科と小児科に力を入れており、多くの地域住民の健康を守ってきました。

歴史と変遷

この病院の歴史は古く、1925年に西成区津守町（現在の住之江区）に開設された大阪市立桃山病院津守分院に遡ります。当初は伝染病患者の治療にも対応していました。その後、1947年には大阪市立上町市民病院と大阪市立扇町市民病院が廃止され、その機能を受け継ぐ形で住吉診療所が開設されました。そして、1950年10月、これらの診療所を母体として大阪市立住吉市民病院が開院しました。

開院当初は9診療科、病床数185床の規模でしたが、時代とともに発展を続け、多くの診療科が設置され、地域住民にとってなくてはならない存在となりました。1971年には大阪市立高等看護学院（後に大阪市立住吉看護専門学校）を、1972年には大阪市立助産婦学院（後の大阪市立助産師学院）を併設するなど、医療教育にも貢献しました。

閉院とその後

長い歴史を持つ大阪市立住吉市民病院でしたが、2018年3月末をもって閉院しました。閉院の背景には、長年にわたる赤字経営が大きく影響しています。大阪市は建替え計画を進めていましたが、大阪府と大阪市の統合計画に伴い、隣接する府立急性期・総合医療センターとの統合が決定されました。統合計画は当初、費用面で有利とされていましたが、実際には想定を大きく上回る費用がかかることが判明しました。また、地域住民からの反対意見も強く、最終的に閉院という決断に至りました。

閉院後、跡地には小児科と産婦人科の診療所「住之江診療所」が開設されました。入院はできませんが、地域住民の医療ニーズに対応するための暫定的な施設として機能しています。

地域医療への貢献

大阪市立住吉市民病院は、70年以上にわたり、大阪市南部地域住民の医療を支え、周産期医療の拠点としての役割を果たしてきました。閉院は地域医療にとって大きな損失ではありましたが、その歴史と貢献は、地域住民の記憶に深く刻まれています。住之江診療所の開設は、地域医療の継続に向けた取り組みの一環であり、今後の発展が期待されます。

アクセス

病院へのアクセスは良好で、大阪市営地下鉄四つ橋線玉出駅、北加賀屋駅、南海本線粉浜駅、阪堺電気軌道阪堺線東粉浜停留場、塚西停留場などから徒歩圏内に位置していました。また、大阪市営バスの停留所もすぐ近くにありました。

参考文献

新修大阪市史編纂委員会『新修大阪市史 第9巻』大阪市、1995年
大阪都市協会『住之江区史』住之江区制十周年記念事業実行委員会、1985年
* 大阪市立桃山病院『大阪市立桃山病院百年史』1987年

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