大阪市立天王寺商業高等学校

大阪市立天王寺商業高等学校：歴史と伝統を刻んだ商業教育の殿堂

大阪市立天王寺商業高等学校は、大阪府大阪市天王寺区に存在した市立の商業高等学校です。通称は「天商」。その歴史は古く、1880年に五代友厚が創設した大阪商業講習所にまで遡ります。商業教育の長い歴史と伝統を誇り、多くの優秀な人材を社会に送り出しました。

創立から閉校までの歩み

学校は、大阪商業講習所、府立大阪商業講習所、府立大阪商業学校、大阪市立大阪商業学校、大阪市立高等商業学校と変遷を経て、1912年、市立大阪高等商業学校の附属甲種商業科が独立して大阪市立大阪甲種商業学校として開校しました。これが天王寺商業高等学校の直接的なルーツです。

その後、大阪市立第一商業学校、大阪市立天王寺商業学校と改称し、1948年の学制改革により大阪市立天王寺商業高等学校となりました。当初は商業科に加え、普通科と家庭科も設置されていましたが、1953年には商業科単科の学校となりました。

1990年には情報システム科、1997年には英語科を新設。時代の変化に対応しながら、商業教育の質を高め続けました。大阪市立大学や関西大学との高大連携にも取り組み、高度な専門知識と実践力を兼ね備えた人材育成に尽力しました。7時限授業を導入するなど、生徒の学習機会の充実にも配慮していました。

しかし、2004年、大阪市教育委員会は、大学や産業界と連携した高度な商業教育を行う新しい市立商業高校の設立を計画。天王寺商業高等学校は、大阪市立市岡商業高等学校、大阪市立東商業高等学校とともに統合され、2012年4月、大阪市立大阪ビジネスフロンティア高等学校として新たなスタートを切りました。天王寺商業高等学校は、2014年3月をもって閉校となりました。

戦災と復興

天王寺商業学校は、1945年の大阪大空襲で校舎を焼失するなど、幾多の困難を経験しました。生徒たちは、生野区の勝山国民学校、南区の金甌国民学校などを仮校舎として授業を続けました。戦後の復興期には、仮校舎での授業を続けながら、1958年に現在の場所に校舎を再建、移転しました。この過程で、学校関係者や地域住民の支えが大きな力になったことは言うまでもありません。

御津女子商業学校との統合

戦時下の1944年、大阪市は御津女子商業学校を開設しました。戦後、学制改革に伴い、天王寺商業高等学校は御津女子商業学校（御津商業高等学校）と統合され、男女共学となりました。この統合は、戦後の教育改革における大きな転換点の一つでした。御津女子商業学校の跡地は、後に大阪市立南中学校となり、現在はビッグステップが建設されています。

天商の伝統と精神

天王寺商業高等学校は、長きに渡り大阪の商業教育を牽引してきました。その歴史は、単なる教育機関の歴史にとどまらず、大阪経済の発展に大きく貢献してきた証でもあります。閉校した今も、天商で培われた伝統と精神は、多くの卒業生によって受け継がれ、社会に活かされています。

関係者

天王寺商業高等学校には、数多くの著名な卒業生や関係者がいます。作曲家の故大栗裕氏も、天王寺商業学校吹奏楽部（天商バンド）出身です。卒業生、関係者の方々によって築き上げられた歴史と伝統は、これからも語り継がれていくでしょう。

交通アクセス

JR大阪環状線桃谷駅から南西へ約500mの場所に位置していました。

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