大阪市立愛日小学校

大阪市立愛日小学校：御堂筋に面した歴史ある小学校の軌跡

大阪市立愛日小学校は、かつて大阪市中央区北浜に存在した公立小学校です。御堂筋に面した、ビジネス街の中心に位置する立地が特徴でした。しかし、都心部の夜間人口の減少に伴い、1990年4月、大阪市立集英小学校と統合され、大阪市立開平小学校となりました。これにより、愛日小学校は1990年3月をもって閉校を迎えたのです。

1929年竣工の校舎と著名な建築家

1929年に竣工した愛日小学校の校舎は、著名な建築家である横浜勉氏の設計によるものでした。閉校後も、しばらくの間は大阪市の関連施設として使用され、校庭は市営駐車場として活用されていました。しかし、2005年には校舎は解体されました。跡地は「淀屋橋地区第一種市街地再開発事業」として再開発され、2008年3月には、事務所や商業施設が入居する高層ビル（淀屋橋odona、三井住友海上大阪淀屋橋ビル、淀屋橋三井ビルディング）が建設されました。

校名の由来と地域への貢献

愛日小学校の校名の由来は、古典文献の一節にあると伝えられていますが、正確な出典については諸説あり、はっきりとはしていません。校名決定の際には、当時の東区から地名を採るのが望ましいという意見もあったものの、学校関係者らは地域に愛珠幼稚園が存在することなどを理由に「愛」の字を含む「愛日」を強く主張し、最終的にそれが採用されたという経緯があります。

また、同校の閉校記念誌には、明治時代初期に社会教育や社会見学を初めて実施した学校の一つとして記されています。これは、地域の教育発展に貢献した同校の重要な側面を示すものです。

設立から閉校までの歩み

愛日小学校の敷地は、かつて山片蟠桃の屋敷跡地でした。1872年8月、八代当主の山片重明氏は小学校設立のため、自身の邸宅を土地、家屋、建具と共に学校に寄贈しました。この寄贈には、山片家旧蔵の書籍類、山片重賢・重芳らの収集した書籍、山片蟠桃の学問上の研究書、そして蟠桃が仙台藩主や白川藩主松平定信から拝領した貴重な書籍なども含まれていました。

昭和時代に入ると、大阪市は中等学校の入試難を緩和するため、中等学校の増設を図りました。その際に、既存の小学校を統廃合し、空いた校舎を中等学校として転用する方法が採られました。愛日小学校も、1942年には船場国民学校を合併し、さらに太平洋戦争終戦直後には、戦災により被災した久宝小学校を統合しています。

1970年代頃から児童数の減少傾向が目立ち始め、同様に児童数減少に悩んでいた大阪市立集英小学校との統合が検討されるようになりました。大阪市教育委員会や両校の関係者らの協議の結果、1989年9月に統合が正式発表され、1990年3月、愛日小学校は閉校しました。統合により新設されたのが大阪市立開平小学校です。

重要な出来事

1872年8月1日: 東大組第十三区小学校として創立。
1872年9月12日: 大阪府の巡講師による地域住民向け講話（学校記念誌では社会教育の始まりとされている）。
1872年10月17日: ロシア皇子の来阪に伴う学校見学（学校記念誌では社会見学の始まりとされている）。
1944年8月31日: 滋賀県への集団疎開。
1945年3月14日: 大阪大空襲により卒業式中止。
1958年2月5日: インドネシア大統領スカルノの視察。
1976年12月: 大阪市役所第二庁舎候補地との一部報道（後に誤報と判明）。
1989年9月28日: 愛日・集英両小学校の統合が正式発表。
1990年3月24日: 閉校式。
1990年3月31日: 閉校。
2005年: 校舎解体。
2008年3月: 跡地に再開発ビル竣工。

著名な出身者

愛日小学校は、多くの著名な卒業生を輩出しています。その中には、岡田彰布（プロ野球監督・元選手）、角野卓造（俳優）、辻元清美（衆議院議員）、原静枝（女優）、本田博（機械工学者・科学技術者・エコノミスト）、八木秀次（電気工学者）などが含まれています。

参考文献

愛日小学校を讃える会記念誌編集部編『愛日小学校総誌』（愛日小学校を讃える会事業委員会、1990年）

愛日小学校は、その歴史と立地、そして卒業生たちが築き上げた伝統により、大阪の歴史に深く刻まれた小学校として記憶されています。

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