大阪市電気局100形電車

大阪市電気局100形電車の概要

大阪市電気局100形電車は、1933年5月に製造された大阪市営地下鉄の初期の通勤電車です。この電車は、高速電気軌道1号線の部分開業に際して導入され、以降の車両デザインに大きな影響を与える存在となりました。

製造背景

100形電車は、先進的なデザインと安全技術が融合したもので、神戸の川崎車輛、大阪京橋の田中車輌、名古屋の日本車輌製造本店、東京の汽車製造の4社で合計10両が製造されました。これにより、大阪市営地下鉄の車両設計の基盤が築かれることになります。

車体の特徴

この電車は、車体長17m、車体幅2.8m、自重40.3tを誇る大型車両で、両運転台設計が特徴です。車体は防錆効果の高い含銅鋼板を使用し、リベットで組み立てられていました。内装や座席も工夫され、乗客の安全を考慮した設計がなされています。また、「安全畳垣」と呼ばれる転落防止柵が装備されており、安全性も確保されていました。

行先表示と塗装

行先表示は側面幕板に表示板を挿入して案内する方法が採用され、当時最先端の技術が取り入れられていました。塗装は上半分がクリーム色、下半分が水色というデザインが施されており、後にオレンジが採用されることになります。

主要機器

主電動機には芝浦製作所製の230馬力級が採用され、先進的な制御器とブレーキシステムも搭載されました。制御器は発電ブレーキの常用を前提として設計され、安全性に配慮されています。

運用と改造

運行開始以降、この電車は単行や編成で運用され、多くの運用が重ねられました。運転台側の改造や安全装備の追加などが行われ、運用の効率化が図られました。

終焉と保存

1970年、日本万国博覧会を前に本形式は順次置き換えが進みましたが、119台の中で105号車が保存され、1972年には除籍されました。現在、105号車は旧塗装に戻され、大阪市指定文化財に指定されています。また、連続テレビ小説『ごちそうさん』でも使用され、文化的な価値が高まっています。

まとめ

大阪市電気局100形電車は、関西鉄道の発展を象徴する車両であり、安全とデザインが融合した重要なモデルです。保存車両の存在は、歴史的な価値をもつ貴重な遺産として、多くの人に親しまれています。

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