大阪府警察学校

大阪府警察学校（おおさかふけいさつがっこう）

大阪府警察学校は、大阪府における未来の警察官や警察職員を育成し、必要な知識や技能を習得させるための重要な教育機関です。この学校は大阪府警察本部の管理下に置かれ、学校長は警視正の階級にある者が担います。

沿革

大阪府警察の歴史と共に歩んできました。
1954年（昭和29年）7月1日、大阪市を除いた府内24市町村の警察組織と国家地方警察大阪府本部が統合され、「大阪府警察」が発足。
翌1955年（昭和30年）7月1日には、大阪市警察がこれに加わり、新たな体制となった大阪府警察のもと、大阪市城東区に警察学校が設けられました。
その後、手狭になったためか、1967年（昭和42年）3月27日に校舎が大阪府交野市東倉治に完成し、学校はここへ移転します。
そして、近年になり、2012年（平成24年）3月には、現在の泉南郡田尻町（りんくうタウン内）に最新の施設が完成し、再び移転しました。

課程

警察官採用試験に合格した者が入校し、それぞれの区分に応じた期間、集中的な研修を受けます。教育は全寮制で行われ、男女共に学びます。

入校期間は、採用区分によって異なります。
大学卒業者と同等の短期課程A区分は6か月間。
それ以外の長期課程B区分は10か月間。

研修内容は多岐にわたり、警察官として求められる能力を総合的に養います。

職務倫理: 警察官としての心構え、府民への適切な対応方法、社会見学などを通じた視野拡大。
法学: 警察活動の根幹をなす憲法、警察行政法、刑法、刑事訴訟法といった法律の知識に加え、民法など広範な法体系を学びます。
基本実務: 現場で必要となる実践的な知識や技術を習得します。生活安全、地域、刑事、交通、警備といった各分野の警察活動、情報通信技術、そして様々な状況を想定した実戦的な総合訓練が含まれます。
術科: 身体能力の向上と自己防衛、犯人制圧に不可欠な技術を磨きます。柔道、剣道、逮捕術といった格闘技や制圧術、救急法、けん銃の安全な取り扱い、集団行動の規律を学ぶ教練、警備における実践訓練、体育などが行われます。
その他: 実際の警察署での実務修習、学校内での各種行事参加、文化クラブ活動に加え、徒歩での長距離訓練や大規模災害発生時を想定した警備訓練などもカリキュラムに含まれます。

施設

現在の田尻町の施設は、PFI事業（プライベート・ファイナンス・イニシアティブ）という手法を用いて整備されました。これは公共事業を民間の資金と経営能力を活用して行う方式で、田尻町の施設はBTO方式（Build Transfer Operate、府費施設はBT方式 Build Transfer）が採用されています。発注は国土交通省近畿地方整備局と大阪府警察本部が共同で行いました。

広大な敷地内には、研修の拠点となる4階建ての本館をはじめ、学生が共同生活を送る個室タイプの生徒寮が2棟、式典や講義を行う講堂、武道や術科訓練に使う道場、体育館、射撃場などが配置されています。

敷地の総面積は約6万平方メートルに及び、建物全体の延床面積は約4万2000平方メートルと、充実した教育・訓練環境が整えられています。

所在地

大阪府警察学校は、その機能に応じて複数の場所に分かれています。

警察官として最初に基礎的な教育を受ける初任教養部は、大阪府泉南郡田尻町りんくうポート南1－1にあります。
一方、専門的な研修や技能訓練を行う専科教養部、および付属自動車学校は、大阪市城東区関目6丁目2-13に位置しています。

エピソード

田尻町の施設がある「りんくうポート南」エリアは、関西国際空港の対岸に広がるりんくうタウンの一部で、元々は主に工業用地として計画されていました。そのため、警察学校の生徒寮以外に一般の住居がなく、学校関係者以外の住民がほとんどいないという特徴があります。
交野市にあった時代からの歴史を引き継ぎ、1968年（昭和43年）には学校敷地内に警察の職務中に殉職された方々を追悼する「大阪府警察殉職者之碑」が建立されました。現在も毎年10月末頃になると、この碑の前で厳粛な「大阪府警察殉職者慰霊祭」が執り行われ、尊い犠牲に思いを馳せます。
交野時代の施設は、田尻への移転後に解体されました。その跡地は創価学園に売却され、2019年（平成31年）5月頃からは、主にグラウンドとして活用されています。

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