大阪歌舞伎座

大阪歌舞伎座の歴史

大阪歌舞伎座（おおさかかぶきざ）は、かつて大阪府大阪市の中央区千日前にあった歌舞伎劇場です。ここは松竹の興行が行われていた劇場の一つで、経営はその傍系会社である千日土地建物（後の日本ドリーム観光）によって行われていました。歌舞伎座は地上7階建ての建物であり、当時はまだ高層ビルが少なかった大阪の景観の中で、特に目を引く存在でした。

初代大阪歌舞伎座

初代大阪歌舞伎座は、1898年2月15日に九代目市川団十郎を迎え、開場時には「武勇誉出世景清」と「信州川中島」が上演されました。しかし、たった1年後の1899年1月に失火により全焼してしまい、再建されることはありませんでした。

二代目大阪歌舞伎座

次に登場したのが二代目大阪歌舞伎座です。これは大林組によって建設された南欧風の7階建ての劇場で、1階から4階までが観覧席として利用され、約3000人を収容可能でした。特に4階には「一幕見席」が設けられ、観客には新たな観劇スタイルを提供しました。舞台設備も充実しており、電動式の舞台装置を備え、オーケストラピットも設置されていました。

初のこけら落としは1932年10月3日、「東西大合同歌舞伎」が上演され、多くの著名な役者が出演しました。しかし、1944年に営業は停止され、特に戦争の影響で「戦力増強劇場」へと変わりました。

戦後の再開

1945年に戦後再開されると、大阪歌舞伎座は歌舞伎の興行を再び行い、人気を博しました。しかし、その後の経営は内部の問題や他の競合の出現などにより厳しくなり、役者の育成や企画力の低下が問題視されました。1950年代に入ると、続く内紛やストライキが劇場運営に深刻な影響を与え、最終的には経営の再建策が取られるも、状況は好転しませんでした。

新歌舞伎座への移転

1958年には、経営の見直しが行われる中で、新たに「新歌舞伎座」の建設が決定されると、大阪歌舞伎座は閉館されることとなります。新歌舞伎座は1966年に開場し、初代中村鴈治郎の人気もあり、多くの観客を集めましたが、長期にわたる上方歌舞伎の衰退は避けられず、劇場は多くの試行錯誤の果てに閉じられてしまいました。

現在の状況

その後、大阪での歌舞伎は不定期に行われるようになりながらも、関西地域での歌舞伎の育成を目的とした「関西･歌舞伎を愛する会」が結成されるなど、歌舞伎の活動は続いてきました。道頓堀の中座を拠点とする定期興行も行われ、1997年には新たに「大阪歌舞伎座」が開場するなど、歌舞伎の伝統は今も受け継がれています。しかし、かつての栄光を誇っていた大阪歌舞伎座が持っていたような中核の役割を果たす劇場が果たしてこの先現れるのでしょうか。

大阪歌舞伎座は、歌舞伎という日本伝統のパフォーマンスを支えてきた重要な場所として、多くの人々に愛されていました。その歴史はさまざまな出来事を経ており、現在もなお、歌舞伎の魅力と文化の一端を支え続けています。

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