大阪産業大学孔子学院

大阪産業大学孔子学院

大阪産業大学孔子学院は、学校法人大阪産業大学と中国政府機関である国家漢語国際推広領導小組弁公室（漢弁）、そして上海外国語大学との連携に基づき、2007年11月に設立された教育機関です。その目的は、中国語教育の提供と中国文化の普及を通じた日本と中国の相互理解促進にあります。設置場所は、大阪駅前の大阪駅前第3ビル19階にある大阪産業大学の梅田サテライトキャンパス内に開設されました。

この学院設立の背景には、大阪産業大学と中国側との間で長年にわたる学生交流の実績があったことが挙げられます。両者は日中間の教育分野における連携を強化し、中国語教育の振興を図るという共通の目標を持っていました。また、大阪市が中華人民共和国の上海市と姉妹都市関係にあることも、設立の連携相手として上海外国語大学が選ばれた要因の一つとされています。

大阪産業大学孔子学院では、多岐にわたる活動を展開しています。具体的な活動としては、一般向けの中国語講座や特定のニーズに応じた研修、中国語教育に携わる講師の育成プログラム実施などが挙げられます。また、中国語の習熟度を測る国際的な検定試験である漢語水平考試（HSK）の実施協力や、中国語スピーチコンテストへの参加・協力も行っています。さらに、中国への留学を希望する学生や社会人に対する教育支援、留学に関する情報提供や手続きの促進なども重要な役割です。これらに加え、中国文化を紹介する講座やシンポジウムなどのイベントを主催・共催し、幅広い層に中国文化への関心を深めてもらう機会を提供しています。

運営面では、設立数年後に一時的な困難に直面しました。2009年、経営状況が悪化していた大阪産業大学は、合理化の一環として孔子学院の梅田キャンパス外への移転や、場合によっては閉鎖案を中国側に打診しました。これに対し、上海外国語大学の幹部が来日し、協議の結果、大阪産業大学側が謝罪するという一幕がありました。

その後の学院の活動は継続され、国際的な評価を得るに至ります。2019年12月には、中国で開催された国際中国語教育大会（旧称：孔子学院世界大会）において、大阪産業大学孔子学院が世界に数多くある孔子学院・孔子課堂の中から優秀校27校の一つとして表彰されました。

一方で、孔子学院全体、そして大阪産業大学孔子学院についても、その性格や活動内容に関して議論や懸念が示されることがあります。2010年には、大阪産業大学の事務局長（当時）が、職員労働組合との交渉の場で孔子学院を指して「文化スパイ機関だ」と発言したことが問題となりました。この発言後、事務局長は解任されましたが、本人は後に取材に対し、インターネット上で流布されていた情報に触れただけだと釈明しています。この件は民事訴訟に発展しましたが、最終的には和解に至っています。

孔子学院の国際的な位置づけについては、国によって見解が異なります。日本の文部科学省は、孔子学院や孔子課堂の設置・認可に関して特別な届け出は必要なく、あくまで日本と中国の大学間の協定に基づく取り組みであるとの立場を示しています。世界全体では、2017年末の時点で138の国と地域に約1600校が設置され、多数の講師と受講生がいるとされています（2019年時点のデータを含む）。

しかし、米国では孔子学院に対して厳しい見方が示されています。2020年8月、当時のマイク・ポンペオ米国務長官は、孔子学院が中国共産党による世界的な政治宣伝（プロパガンダ）工作に利用されていると断定し、首都ワシントンにある孔子学院米国センターを、大使館や領事館と同様の「外国公館」に指定すると発表しました。これは、孔子学院の透明性や学問の自由への影響に対する懸念を反映した措置と言えます。

大阪産業大学孔子学院の学院長には、紅粉芳惠氏（大阪産業大学国際学部准教授）が名を連ねており、中国側からは康林氏が学院長を務めています。過去には、倉橋幸彦氏が初代、張黎氏が第2代学院長を務めていました（いずれも大阪産業大学国際学部教授）。

日本国内には、大阪産業大学孔子学院以外にも孔子学院が設置されています。例えば、京都には立命館大学と北京大学の提携による日本初の孔子学院である立命館孔子学院があり、同じく立命館学園に属する立命館アジア太平洋大学にも孔子学院があります。また、関西外国語大学は日本の外国語大学として初めて孔子学院を開設しています。これらの孔子学院は、それぞれの連携大学や地域の特性を生かしながら、中国語教育や文化交流の活動を行っています。

もう一度検索