大阪砲兵工廠

大阪砲兵工廠とは

大阪砲兵工廠は、明治初期に設立された大日本帝国陸[[軍]]の兵器工廠です。大阪市内に位置し、最盛期にはアジア最大級の規模を誇りました。その主な役割は、大口径の火砲をはじめとする各種兵器の製造であり、日本の軍事力の中核を担っていました。しかし、その歴史は単なる軍事施設としての側面だけでなく、日本の重工業発展にも大きく貢献しました。戦後、その広大な敷地は大阪城公園などの公共施設として生まれ変わり、現在に至っています。

歴史

1870年（明治3年）、兵部省直轄の造兵司として設立されたのが始まりです。当初は長崎製鉄所の技術者や職工を移し、大坂城内に拠点を設けました。その後、陸軍省の発足とともに大砲製造所、砲兵支廠と改称し、1879年（明治12年）に大阪砲兵工廠となりました。1923年（大正12年）には陸軍造兵廠大阪工廠と改称され、さらに1940年（昭和15年）に大阪陸軍造兵廠となりました。

設立当初は大阪城三の丸の一角に過ぎなかった敷地も、時代とともに拡張を重ね、最盛期には広大な面積を誇りました。1940年には城東練兵場も組み込まれ、総面積は596万平方メートルに達しました。また、終戦直前には約6万4000人の従業員が勤務していました。

大阪砲兵工廠は、大口径火砲の製造拠点としてだけでなく、当時の日本における最先端の鋳造・金属加工技術を有していました。そのため、軍需品だけでなく、水道管や橋梁などの民需品も製造しており、社会インフラの整備にも貢献しました。靖国神社の青銅製鳥居や、大坂城の水道管などがその例です。

しかし、1945年（昭和20年）8月14日、アメリカ軍による空襲によって工廠は甚大な被害を受けました。8割以上の施設が破壊され、多くの犠牲者を出しました。

アパッチ族

終戦後、大阪砲兵工廠の跡地は、不発弾の危険性から長らく放置されていました。昭和30年代には、この場所に夜間侵入し、鉄くずを回収・売却する在日韓国人や在日朝鮮人グループが現れました。彼らは警察との攻防を繰り返したため、「アパッチ族」と呼ばれるようになりました。この名称は、彼らが身を守るために使った合図が、当時流行していた映画「アパッチ族」の動作に似ていたことに由来します。

アパッチ族は、その活動が窃盗行為とみなされたため、社会的な支持を得ることができず、最終的に解散しました。しかし、彼らの存在は、戦後の混乱期における社会の一面を象徴するものとして、小説や映画の題材にもなっています。

主な出来事

1870年（明治3年）: 造兵司設置
1879年（明治12年）: 大阪砲兵工廠と改称
1887年（明治20年）: 靖国神社の青銅製鳥居を鋳造
1923年（大正12年）: 陸軍造兵廠大阪工廠と改称
1940年（昭和15年）: 大阪陸軍造兵廠と改称
1945年（昭和20年）: アメリカ軍の空襲により甚大な被害
1981年（昭和56年）: 旧本館が解体

工廠長

大阪砲兵工廠の歴史の中で、多くの責任者がその運営を担いました。初期は砲兵支廠の提理として、その後は大阪砲兵工廠の提理、そして陸軍造兵廠大阪工廠の工廠長、最後に大阪陸軍造兵廠の廠長へと役職が移り変わっています。主な工廠長には、牧野毅、太田徳三郎、楠瀬幸彦、川合致秀、加藤泰久、村岡恒利、横山彦六、井上与一郎、三輪時雄、三木善太郎、小柳津正蔵、永持源次、林狷之介、中山徳治、尾藤加勢士、長谷川治良、木村弘人、相馬癸八郎らがいます。

現在

現在、大阪砲兵工廠の跡地は、大阪城公園、大阪ビジネスパーク、JR西日本森ノ宮電車区、大阪市高速電気軌道森之宮検車場などとして利用されています。一部には、表門や化学分析場、石造アーチ荷揚門などの遺構が残っています。特に化学分析場は、ネオ・ルネサンス様式の建築物として知られています。

旧本館は残念ながら1981年に解体されましたが、跡地には大阪城ホールが建設されています。

大阪砲兵工廠は、日本の近代史において重要な役割を果たした施設であり、その歴史は今もなお、様々な形で語り継がれています。

交通

旧科学分析場、旧便所へは以下の交通機関が利用可能です。

Osaka Metro 天満橋駅より徒歩10分
京阪電鉄 天満橋駅より徒歩10分
JR 大阪城北詰駅より徒歩10分
* 大阪シティバス 京阪東口より徒歩5分

これらの交通機関を利用して、大阪砲兵工廠の歴史を偲ぶことができます。

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