大阪窯業セメントいぶき500形電気機関車

大阪窯業セメントいぶき500形電気機関車

大阪窯業セメントいぶき500形電気機関車（以下、いぶき500形）は、かつて大阪窯業セメントが伊吹工場専用線で運行していた直流電気機関車です。この機関車は、1956年に日立製作所で製造され、同社製のいぶき501といぶき502がそれぞれ1月と2月に完成しました。いぶき500形の名称は、専用線の名称に由来する伊吹山にちなんでいることから、その地域に深く根付いた存在であったことが分かります。

いぶき500形は、50トンの箱形車両として設計され、主に近江長岡駅から分岐した伊吹工場専用線でセメントの輸送に従事していました。この時期、機関車の中央には大阪セメントの「ライオン印」が掲げられ、工場のアイデンティティを象徴していました。しかし、1999年にセメント輸送がトラックに切り替えられることに伴い、運用は終了しました。

その後、いぶき500形は大井川鉄道に譲渡され、ここでED500形として運用されることになりました。譲渡は1999年10月に行われ、搬入直後の新金谷車両区では試運転が行われました。2000年2月22日にはED501が竣工し、その後の運用開始は同年の2月下旬に行われました。この際、いぶき号の運行開始を記念する特別ヘッドマークも装着され、新金谷駅発千頭行き列車が運行されるようになりました。

ED501は、客車3両の編成で運行されており、上り列車においては他の機関車との連結運転も行われました。一方、ED502に関しては、将来的に補機専用機としての役割を果たすため、特に自動列車停止装置（ATS）は装備されていませんでした。

その後、ED501とED502は2005年に三岐鉄道へ移籍することが決定し、より進化した仕様での運用が期待されました。特にED501については重連総括制御装置を搭載し、三岐鉄道仕様のATSも取り入れられました。2002年に中部国際空港埋立土砂輸送の運用を終了し、その後も間もなく運用が終了しました。

ED501は、2003年に大井川鐵道に返却され、その後の運用に向けて整備計画が立てられました。整備は2019年頃から開始されましたが、様々な事情から一時中断されました。今後は2022年度中に再開される予定となっており、復活に向けた期待が寄せられています。

主要諸元

• - 全長: 12,600 mm
• - 全幅: 2,700 mm
• - 全高: 3,830 mm
• - 運転整備重量: 50.0 t
• - 電気方式: 直流1,500 V
• - 軸配置: B-B
• - 台車方式: 組立台枠
• - 主電動機: HS277-Br-16形×4基
• - 定格出力: 600 kW
• - 最大運転速度: 65 km/h

いぶき500形は、セメント輸送における歴史的な役割を果たしただけでなく、その後の鉄道システムにおいても重要な位置を占めています。今後の整備と運用が行われることで、新たな歴史を刻むことでしょう。

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