大陸軍 (アメリカ)

大陸軍（Continental Army）

大陸軍は、アメリカ独立戦争において、後のアメリカ合衆国となる13の植民地によって編成された軍です。その設立は1775年6月14日の第2次大陸会議にさかのぼり、イギリスの支配に対抗するために、植民地の連携を進めることを目指しました。日本の歴史教科書では単に「独立軍」と表記されることがありますが、正式には大陸軍と呼ばれています。

独立戦争が勃発した1775年4月、初めてアメリカ植民地の独立を支持する勢力は公式な軍隊を持っていませんでした。それまでは各植民地ごとに民兵組織が存在し、それに頼る形で地方の防衛が行われていました。特に1774年には「耐え難き諸法」が成立し、植民地人たちは共通の民兵組織を設立する動きが活発化しました。このような中で、レキシントン・コンコードの戦いが勃発し、アメリカ植民地人たちは団結してイギリス軍に対抗する準備を進めていきました。

1775年4月23日、マサチューセッツ湾植民地議会は植民地軍体制を承認し、以降間もなく他の植民地も小規模な軍を編成しました。そして、1775年6月14日には、第二次大陸会議によって大陸軍の創設が決定されました。最初の部隊として、マサチューセッツのボストン郊外やニューヨークに待機していた民兵たちを公認し、さらにペンシルベニア、メリーランド、バージニアの各植民地からライフル狙撃兵を編成しました。ジョージ・ワシントンが全会一致でその最高司令官に選ばれ、以降の戦争を通じてその指揮を執りました。

大陸軍は、戦争の中で様々な再編成を行い、兵士の人数や配置も変動しました。戦争初期には市民が志願者として参加し、兵役期間は1年から3年間となっていましたが、徴兵期間の延長が認められることもありました。独立戦争の全期間を通じて、大陸軍は多くの困難に直面しました。特に1776年から1777年に掛けての冬には兵員の不足が深刻で、戦争の長期化に伴い民兵からの補強が必要になりました。

1777年から1780年にかけて、大陸軍は兵力の拡充を図る一方で軍隊の新たな構成を模索しました。すると同時に、それぞれの植民地が連隊を供給するよう条件付けされ、強化策を講じることとなりました。このような試みにより、ワシントンはさらに効率的な編成を実現し、戦局に対応する強力な軍隊を築くことができました。

アメリカ独立戦争の終焉を迎えた1783年11月、ほとんどの大陸軍部隊は解散しました。しかし、1784年には大陸会議の決議に基づき、小規模な地域軍隊がウェストポイントに留まることとなり、従来の大陸軍の構成がアメリカ陸軍の設立につながったのです。このように、大陸軍は単なる軍隊にとどまらず、後のアメリカ合衆国軍の基礎を築く重要な役割を果たしました。

当時の大陸軍は、戦闘において非白人兵の参加もあり、アフリカ系アメリカ人の兵士が数多く募集されたことでも知られています。彼らは自由を約束されて戦ったことが多く、その影響力は独立戦争の中でも欠かせないものでした。

大陸軍は、その後の10年間にわたり続くことになるアメリカ雇用軍の基本概念を形成し、長期的な戦略、軍制と訓練の新たな枠組みが構築されていく過程で、優れた軍事指導力と独立した意思を持った軍隊としての姿を見せました。

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