大隅大川原駅

大隅大川原駅：山里に佇む、歴史と自然が息づく無人駅

鹿児島県曽於市財部町下財部に位置する大隅大川原駅は、九州旅客鉄道（JR九州）日豊本線沿線にある無人駅です。1931年11月1日の開業以来、長きにわたり地域の重要な交通手段として利用されてきました。

歴史を刻む駅舎

開業当初は一般駅として、貨物輸送も行われていましたが、1962年には貨物扱いが廃止され旅客駅へと移行しました。1979年にはCTC化に伴い無人駅となり、荷物扱いも廃止されました。その後、1980年には駅舎の改築が行われ、長らく利用されてきました。

しかし、老朽化が進んだため、地元曽於市の負担により2010年に新駅舎が建設され、落成式が行われました。約24平方メートルの新駅舎は地元産の杉材を使用し、「悠久の駅舎」という愛称が付けられています。落成式には地元住民約90人が都城駅から記念乗車を行い、約400人が集まる盛大な式典が執り行われました。式典では、財部北小学校の児童による薩摩地方の伝統楽器「ゴッタン」の演奏や、末吉鬼神太鼓の公演なども行われ、地域住民の強い絆を感じさせるイベントとなりました。

1993年には平成5年8月豪雨の影響で、西都城駅から鹿児島駅間が運転見合わせとなりましたが、同年9月19日に西都城駅から大隅大川原駅間、10月9日に大隅大川原駅から国分駅間の運転が再開され、全線復旧を果たしました。近年では、2020年10月16日から運行開始した観光列車『36ぷらす3』の金曜日ルートの特別停車駅となり、新たな魅力も加わりました。停車中はホームに降り立つことも可能です。

駅の構造と周辺環境

大隅大川原駅は、島式ホーム1面2線を有する地上駅です。駅は勾配の途中に位置しており、日豊本線の最高地点はこの駅と次の北永野田駅との間にあるという地理的特徴があります。

駅周辺は険しい山々が連なり、自然豊かな環境が広がっています。駅のある地区は財部北地区と呼ばれ、2010年時点の人口は約950人、高齢化率は60％を超えています。静かで落ち着いた雰囲気の中で、地域の生活を支える重要な役割を担っています。

利用状況とアクセス

2015年度の1日平均乗車人員は6人です。公共交通機関としては、バスなどの利用も検討する必要があります。

まとめ

大隅大川原駅は、歴史と自然に囲まれた静かな無人駅です。長い歴史の中で幾多の出来事を経て、現在も地域住民の生活を支え、観光客にも新たな魅力を提供しています。訪れる際には、周辺の自然や歴史にも触れて、ゆったりとした時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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