大随求菩薩

大随求菩薩

概要

大随求菩薩（だいずいくぼさつ）は、仏教尐密教における特筆すべき菩薩の一尊であり、特に求願を施す存在として知られています。彼の名前には「随求」という意味が込められており、これは衆生のさまざまな願いを受け止める能力を示しています。大随求菩薩の真言を唱えることで、心の願いが叶いやすくなると信じられています。彼は胎蔵界曼荼羅の中心に位置し、観音菩薩の化身ともされる存在です。

名称

• - サンスクリット名: Mahā-pratisarā
• - 漢訳音写名: 摩訶・鉢羅底薩落
• - 異名: 随求菩薩、随求大明王
• - 密号: 与願金剛
• - 真言: 「オン バラバラ・サンバラ サンバラ・インジリヤ・ビシュダニ ウンウン・ロロシャレイ ソワカ」

外見と姿

大随求菩薩の姿は、基本的には八本の腕を持ち、全体が黄色で彩られています。彼の頭上には宝冠があり、中には化仏が存在します。右腕には五鈷杵・剣・鉞・三股戟などの武器を持ち、左手には法輪を乗せた蓮華や索、宝幢、梵篋を持っていることが一般的ですが、これらの持物の描写にはバリエーションがあります。特に、宋の法賢による『瑜伽大教王経』には四面八臂で各三眼を持ち、梵篋ではなく弓矢を持つ姿として描写されていますが、日本にはこれらの伝承はあまり浸透していません。

経典

大随求菩薩に関連する経典としては、以下のようなものがあります。

• - 『大随求陀羅尼経』 (全2巻)
• - 『随求即得陀羅尼経』
• - 『大随求八印』

また、他にも『随求即得真言儀軌』や『大随求懺悔法』という経典がありますが、これらは偽作とされているため注意が必要です。

大随求菩薩像を祀る寺院

大随求菩薩を祀る寺院は日本各地に存在していますが、特に有名な場所として以下の寺院が挙げられます。

• - 観心寺:

絹本に描かれた大随求菩薩像があり、重要文化財に指定されています。鎌倉時代の作品として唯一残る貴重な図画です。

• - 清水寺:

随求堂に秘仏として安置されています。1733年に制作された像は高さ110cmで、檜の寄木造りです。堂内には特殊な体験ができる「胎内めぐり」があり、大随求菩薩の梵字が書かれた随求石を巡って祈りを捧げることができます。

• - 寂光院:

犬山市にあり、随求堂の本尊として大随求菩薩を祀っています。

• - 石手寺:

こちらも随求堂の本尊であり、木造の像が礼拝されています。

• - 箸蔵寺:

こちらも江戸時代に制作されたとされる木造の菩薩像があります。

結論

大随求菩薩は、多くの衆生の願いを叶える存在として、日本の密教において重要な役割を果たしています。彼に捧げられる真言や信仰は、時代を超えて受け継がれ、さまざまな信仰の中心となっています。特に、求子の願いを持つ人々にとって、非常に特別な存在として崇拝されています。

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