箸蔵寺

箸蔵寺（はしくらじ）の概要

箸蔵寺は、徳島県三好市の池田町州津に位置する真言宗御室派の別格本山です。山の名は宝珠山（ほうしゅざん）といい、本尊は金毘羅大権現です。当寺は四国別格二十霊場の第十五番札所や、四国三十六不動霊場の第四番札所を含むいくつかの霊場にも指定されています。

本尊の真言は「おん くびらや そわか」であり、御詠歌には「いその神 ふりにし世より 今もなほ 箸運ぶてふ ことの尊き」というものがあります。納経印には、実際に参拝した際に受け取る印が刻まれたカードがあり、多くの参拝者が訪れます。

概要と歴史

明治時代の神仏分離令前は、香川県の金刀比羅宮と深い関わりを持ち、「こんぴら奥の院」として知られていました。讃岐の金毘羅さんが神社として発展したことで、この寺は神仏が融合した独特の風習を保持し続け、多くの人々が訪れています。

箸蔵山（標高719.8 m）の南山腹には、769段の石段を登ることで本殿へとたどり着きます。境内では、特に護摩祈祷が毎朝夕に行われ、深い信仰を示しています。赤ちゃんのお箸初めの行事や、節分の星供養も有名で、これらの伝統は多くの参拝者に親しまれています。

伝説によると、平安時代の天長5年（828年）に、空海が金毘羅大権現と出会い、寺の創立に繋がる霊気を称えました。その後、火災によって多くの資料が失われつつも、箸蔵寺は風格を保ちながら修復を重ねてきました。江戸時代末期に再建された建物が現在も見られ、信仰の場として人々に親しまれています。

伽藍と文化財

箸蔵寺の得意とする伽藍には、立派な仁王門（山門）や中門、護摩殿が存在します。護摩殿では、金毘羅大権現が祀られており、重要文化財として登録されています。また、方丈や鐘楼堂なども歴史的な価値を持っており、特に本殿は江戸時代末期の建築で、豪華な構造が目を引きます。

特に魅力的なのが「般若心経昇経段」と呼ばれる279段の石段で、各段に般若心経の文字が刻まれている点です。これによって、参拝者は形骸的な行為ではなく、特別な意味を持つ体験を味わうことができます。

交通アクセス

アクセスは、鉄道を利用する際は土讃線の箸蔵駅から陸路、または箸蔵山ロープウェイを使って便利に訪れることができます。自家用車の場合は、国道32号を使って仁王門まで訪問可能です。しかし、駐車スペースには限りがあるため、計画的な訪問が推奨されます。

周辺には他の霊場もあり、霊場巡りの拠点としても利用されます。いっそう深い精神的体験を求める人々にとって、箸蔵寺は信仰の中心地であり続けています。

歴史と文化が交差するこの地で、魂を鎮め、自己を見つめなおす機会を与えてくれる場所、それが箸蔵寺です。

もう一度検索