大雪丸 (初代)

大雪丸の概要

大雪丸（たいせつまる）は、運輸省鉄道総局及び日本国有鉄道（国鉄）が運営した、青函航路を航行する車載客船です。この船は、戦争で破壊された青函連絡船の復興を目的に、当時の国鉄がGHQの承認を受けて建設施した4隻の車載客船の内の一隻であり、他に洞爺丸、羊蹄丸、摩周丸が同型船として知られています。これら4隻は洞爺丸型と呼ばれています。

大雪丸は、1954年の洞爺丸台風による困難な航海に耐え抜き、その後も1964年まで青函連絡船としての運航を続けました。退役後は、地中海で活躍し、中東の紛争にも巻き込まれましたが、その後1991年にアドリア海での火災と爆発により沈没する運命を辿りました。

建造の経緯

1945年の日本の敗戦後、青函連絡船はアメリカ軍の空襲の影響を受け、主要な船舶が多数沈没し、一時的に稼働不能となりました。これにより多くの引揚げ者や復員者を運ぶ必要が生じ、本州と北海道を結ぶ唯一の航路が絶たれる事態に陥りました。国鉄はこの状況に対処するため、多くの商船を傭用し、また新たに船舶を建造する許可を求めることになりました。その結果、GHQの許可を得て大雪丸を含む車載客船4隻の建造が決定しました。

船体構造

大雪丸の基本設計は、戦時中に建造された翔鳳丸型に基づいています。この船は、二重底構造を採用し、当時の基準に基づき平時仕様で建造され、全長は約118.7m、総トン数は3,800トンに達しました。旅客定員は新造時934名を誇り、船内には多様な客室が設けられていました。

運航の歴史

大雪丸は、1948年11月27日から青函航路での運航を開始しましたが、その後も頻繁に故障や事故が発生する等、運航状況は決して平穏ではありませんでした。特に、1954年の洞爺丸台風時には、青函連絡船として運航していた多数の船が影響を受けました。

洞爺丸台風事件

1954年の台風発生時、大雪丸は函館を出航し、防波堤外での錨泊を余儀なくされました。悪化する気象条件下で、風に流され第六青函丸と接触する事態も発生しましたが、最終的には沈没を免れることができました。この事件は大雪丸の運命に大きな影を落とすものであり、元々用意されていた改修案をも考慮せざるを得ませんでした。

引退後の生活

1964年に青函航路から引退後、大雪丸は三洋商事に売却され、その後ギリシャに移籍し、ディーゼルエンジンに改造されました。様々な航路で活躍しましたが、1991年にはアドリア海で発生した火災により、沈没してしまいました。

最後に

大雪丸は、戦後の日本の復興の象徴であり、一時代を築いた船であったといえます。彼の航跡と数々の出来事は、今なお多くの人々の記憶に残っています。

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