大韓民国の徴兵制度

大韓民国の徴兵制度は、国民皆兵を原則とする兵役制度です。1949年8月に兵役法が制定されて以来、数々の変遷を経て現在に至ります。

年表

1949年8月：兵役法制定。
1950年1月：最初の徴兵検査が実施。
1950年3月：韓国軍の総兵力がアメリカによって10万人に制限され、徴兵制が中断寸前となる。
1950年6月：朝鮮戦争勃発により、非公式な徴兵が実施される。
1952年：徴兵制度が本格的に実施。
1984年：身体等級の名称が「甲種・第１乙種・第２乙種」から「1級・2級・３級」に変更。
2016年：「身体等位」が「身体等級」に名称変更。

兵役義務の年齢

年齢は、各人が○○歳になる年の1月1日から12月31日までを基準とします。

■: 平時での兵役義務対象年齢
■: 戦時での兵役義務対象年齢

用語の説明

徴兵検査及び入営義務: 徴兵検査と徴兵による入営の義務を指します。この年齢が始まる年齢を「徴兵適齢」、開始から終了までの期間を「徴兵義務の年代」と称します。
役種: 兵役の種類。

兵役義務年齢の歴史

1971年～1984年
1984年～1993年
1994年～2010年

身体等級の判定基準

韓国の徴兵制度では、身体等級は7つの等級に分けられています。1～4級は合格、5～7級は不合格と判定されます。

身体等級の判定は、「兵役判定身体検査等検査規則」の別表2（身長・体重の判定基準）と別表3（疾病・心身障害の評価基準）に基づいて行われます。これらの基準は年度ごとに見直されます。

疾病・心身障害に関しては、服務が困難な場合でも、必ずしも不合格となるわけではありません。資料不足や軽微な症状と判断された場合、合格となる身体等級に判定されることがあります。そのため、障害があるにもかかわらず現役入営となるケース（いわゆる「障害者徴兵」）も存在します。これは、韓国国防部と兵務庁が兵力数を維持しようとする意図と関連していると考えられます。

役種区分

兵役法第5条第1項により、役種は以下のように区分されます。

現役

兵役処分として現役入営対象者と判定された者は、徴兵または志願により入営する義務があります。

徴兵または志願によって入営した兵士。
兵役法や軍人事法によって現役として任官された将校・準士官・下士官。

転換服務

徴兵による現役兵入営者の中から選抜される転換服務。

戦闘警察: 1968年創設、2013年廃止。
矯正施設警備矯導隊: 1981年創設、2012年廃止。
義務警察: 1982年創設、2023年廃止。
義務消防隊: 2002年創設、2023年廃止。

予備役

現役服務を終えた者が編入される。

現役の服務を終えた予備役。
常勤予備役: 一般の現役入営対象者の志願は不可。兵務庁が定めた基準で選抜される。選抜された者は、現役兵として入営し軍事訓練を受けた後、自宅から部隊へ通勤する形式で服務。
乗船勤務予備役

補充役

徴兵検査の結果、現役服務が可能と判定された者のうち、兵力需給の事情により現役入営対象者とならなかった者。下位身体等級や低学歴者、前科者などが該当し、一定期間の軍事訓練後、代替服務を行う。

下位身体等級・学歴・前科による補充役。
特定の資格を要する補充役 (産業技能要員、専門研究要員、芸術体育要員、医師、公衆保健医師など)。
国外移住による補充役。

兵役準備役

現役、予備役、補充役、戦時勤労役のいずれにも該当しない者で、満18歳になる年に編入される。

戦時勤労役

平時には兵役義務がないが、戦時には勤労動員される者。徴兵検査の結果、現役または補充役の服務ができないと判定された者や、学歴、受刑歴によって対象となる。

兵役で除外される者

兵役免除: 疾病や心身障害により、兵役が完全に免除される。
兵籍除籍: 6年以上の懲役・禁錮刑を宣告された場合、兵役服務が禁止される。

学歴及び身体等級による兵役処分

身体等級と学歴に基づき、現役入営、補充役、戦時勤労役といった兵役処分が決定されます。詳細な基準は兵務庁の公告で毎年発表されます。

学歴及び身体等級による兵役処分の歴史

1950年代から現在まで、学歴と身体等級による兵役処分の基準は、社会情勢や制度改正に伴い、度々変更されてきました。詳細な歴史については、入力データの通りです。

疾病・身体障害などによって徴兵検査なしで兵役処分

疾病や心身障害の状態によっては、徴兵検査を受けずに戦時勤労役や兵役免除となることがあります。

学歴・年齢以外の資質による兵役処分

受刑歴や、家族関係、養育状況などの個別の事情により、兵役処分が決定されることがあります。受刑者に対しては、刑の重さによって現役入営の制限や、補充役、戦時勤労役となる場合があります。

脚注

詳細については、下記の関連項目をご参照ください。