大鹿卓

大鹿卓

大鹿卓（おおしか たく、1898年8月25日 - 1959年2月1日）は、日本の小説家、詩人です。愛知県海部郡津島町（現在の津島市）に生まれました。本名は、大鹿 秀三（ひでぞう）といいます。兄は詩人の金子光晴です。

生涯

東京府立第一中学校を経て、京都帝国大学経済学部を中退。その後、秋田鉱山専門学校を卒業しました。卒業後は化学教師として教鞭を執りながら、詩作に励みました。

1935年、「野蛮人」が『中央公論』の懸賞小説で二席に入選し、文壇に登場しました。1937年には、「探鉱日記」が芥川賞候補作となりました。1942年、『渡良瀬川』で新潮社文藝賞を受賞しています。

作品の特徴

大鹿卓の作品は、自然や社会に対する鋭い観察眼と、人間に対する深い洞察力によって特徴づけられます。初期の作品には、社会批判的な視点が見られますが、後期の作品では、人間の内面を描くことに重点が置かれています。

特に『渡良瀬川』は、足尾銅山鉱毒事件を背景に、自然破壊と人間の苦悩を描いた作品として知られています。綿密な取材に基づいたリアリズムと、情感豊かな文体によって、読者の心を揺さぶる作品です。

著書

兵隊 詩集 （文芸社 1926年）
野蛮人 創作集 （巣林書房 1936年）
潜水夫 他六篇 （新潮社（新選純文学叢書） 1937年）
火薬 （版画荘文庫 1937年）
金山 （春陽堂（生活文学選集） 1939年）
探鉱日記 （竹村書房 1939年）
千島丸 短篇小説傑作集 （人文書院 1939年）
都塵 （河出書房（短篇集叢書） 1940年）
渡良瀬川 （中央公論社（新作長篇叢書） 1941年）
楽章 （協力出版社 1941年）
神楽歌 （小学館 1941年）
汝を愛す （平凡社 1941年）
かしはらをとめ （愛宕書房 1942年）
我は山の子 （小学館 1943年）
母の夢 （三宝書院（三宝文庫） 1943年）
三つの恋 （湊書房 1946年）
梅花一両枝 （洗心書林 1948年）
強く生きた日本の女性 （三笠新書 1955年）
谷中村事件 ある野人の記録 （大日本雄弁会講談社 1957年）
松の実 歌集 （白玉書房 1963年）

復刊

野蛮人（日本植民地文学精選集18（台湾編6））（ゆまに書房 2000年9月）
大鹿卓作品集（日本植民地文学精選集45（樺太編2））（ゆまに書房 2001年9月）
谷中村事件 （新泉社 2009年12月）

外部リンク

大鹿 卓：作家別作品リスト - 青空文庫

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