人文書院

人文書院について

人文書院（じんぶんしょいん）は、1922年に創立された日本の出版社であり、長い歴史を誇ります。設立以来、主にフランス語圏およびドイツ語圏の文学や哲学思想を日本語で紹介し、さらに著名な心理学者ジークムント・フロイトやカール・グスタフ・ユングの作品についても翻訳を手がけてきました。人文書院は、文学だけでなく宗教、歴史、民俗学、文化人類学といった人文学の他、芸術や自然科学に関する書籍も出版しており、学術界において重要な役割を果たしてきました。

創立者と沿革

この出版社の創立者は渡辺久吉で、1885年に愛知県に生まれました。渡辺は京都仏教専門学校を卒業後、精神療法家の木原鬼仏に学び、1908年には京都にて日本心霊学会を設立。その後出版事業に移行し、1927年に「人文書院」と改名しました。人文書院の名称には、京都帝国大学医学部心理学科の初代教授であった今村新吉の命名が深く関与しています。

かつては、京都大学の教授であったフランス文学者桑原武夫や生島遼一がスタンダールなどの文学作品を、また伊吹武彦がラシーヌやサルトルを翻訳していました。最近でも、多くの著作や翻訳書が関西地方に住む学者や研究者によって刊行されており、学問への貢献が続いています。

著名な刊行本

人文書院は数々の著名な作品を出版しており、特に以下のような全集が有名です：

• - 『ギリシア悲劇全集』全4巻
• - 『ギリシア喜劇全集』全2巻
• - サルトルの『嘔吐』、存在と無』、シチュアシオン』を含む『サルトル全集』全38巻
• - ボーヴォワールの『第二の性』を含む『ボーヴォワール著作集』全9巻
• - 『パスカル全集』全3巻
• - 『ラシーヌ戯曲全集』全2巻
• - ランボーの『地獄の季節』、イリュミナシオン』を含む『ランボー全集』全3巻
• - スタンダール全集（実質は著作選集）
• - ゲーテ全集（実質は著作集）
• - ボードレール全集全4巻
• - ジョゼフ・コンラッド中短編集全3巻
• - ヘッセ著作集
• - フロイト著作集

その他にも、近代絵画に関する豪華本や、オウィディウスの『転身物語』の訳書、さらには「永遠の作家叢書」や『宗教の深層』など、多岐にわたる著作が揃っています。

まとめ

人文書院は、その創立以来、優れた人文学の書籍を幅広く提供し続けており、日本の文化や学術界における重要な出版社として位置付けられています。この出版社が届ける書籍は、多くの読者にとっての知識の源であり、また、新しい視点を提供する貴重なリソースでもあります。

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