大黒天

大黒天について

大黒天（だいこくてん）とは、ヒンドゥー教におけるシヴァ神の異名であり、仏教にも取り入れられた神です。別名マハーカーラ（Mahākāla）として知られ、彼は財福や豊穣の神として広く信仰されています。日本では七福[[神]]の一柱としても有名で、多くの信者に親しまれています。

大黒天の起源

大黒天の起源は、ヒンドゥー教のシヴァ神の化身であるマハーカーラに遡ります。「マハー」とは「大」や「偉大なる」を意味し、「カーラ」は「時」または「黒」（暗黒、闇黒）を表します。これにより、大黒天は「偉大なる暗黒の神」として位置づけられています。青黒い身体に憤怒の相を持つことでも知られる彼は、護法善神としての役割を持つ存在です。

インド密教およびチベット[[仏教]]における大黒天

マハーカーラは、インド密教の中でシヴァ神と同様に描写され、初期の大黒天は四本の手に三叉戟や索、輪を持つ姿で知られています。そして、ブラフマーやヴィシュヌも吸収し、三面六臂の憤怒相の大黒天も登場しました。後期のチベット[[仏教]]においては、大黒天の姿が多様化し、シヴァやその妻パールヴァティー、ガネーシャを踏みつける護法尊の姿が一般的となりました。チベットやネパールでは、貿易商からの信仰を受け、財の神としても崇拝されました。

日本における大黒天

大黒天は日本においては、密教と共に伝来し、天部と呼ばれる仏教の守護神の一つとなりました。特に大国主神と習合し、財と豊穣の神として信仰されるようになりました。真言宗や天台宗を通じて信仰が広がり、最澄が毘沙門天や弁才天と合体した三面大黒を比叡山延暦寺の守護神として祀ったことが起源とされています。室町時代には日蓮宗でも盛んに祀られ、一般的には「大黒さん」と呼ばれ親しまれています。

大黒天の像容

大黒天の像容は通常、一面二臂で青黒い肌に忿怒の相を持っています。『大黒天神法』には、烏帽子と袴姿で、右手の拳を腰に当て、左手には大きな袋を背負った姿が描かれています。この袋には七宝が入っているとされ、彼が厨房や財の神として機能していることが示されています。

神道との習合

大黒の名前は「大国」とも通じるため、古くから神道の神である大国主と混同され、その信仰は習合を重ねました。初期には破壊と豊穣の神として信仰されましたが、次第に豊穣の面が強調されるようになり、現在のようなまろやかな姿が確立されました。江戸時代に入ると、米俵に乗った大黒天の像が一般に知られるようになりました。この姿は、大国主が因幡の白兎の話に登場することから影響を受けています。

大黒天と恵比寿

大黒天と並ぶ信仰対象としては恵比寿が知られています。両者は七福[[神]]の一柱としてそれぞれの特徴を持ちながらも、共に商売繁盛の神としても信仰されています。神楽においても、恵比寿舞と大黒舞が伝統的に行われ、農業の神である大黒と漁業の神である恵比寿は互いに補完し合う存在となっています。

大黒天を祀る主な寺社

大黒天を祀る寺社は日本各地に点在します。具体的には、大黒寺（大阪）、浅草寺（東京）、春日大社（奈良）、安楽寺（愛知）などが挙げられます。これらの場所では、訪れる人々が豊穣と財を求めて祈りを捧げる姿が見られます。特に舞子六神社では巨大な大黒神の石像があり、商売繁盛を願う信者で賑わいます。

大黒天は、仏教とも神道とも結びつきながら、日本独自の信仰体系の一翼を担う重要な存在として、今日でも多くの人々に崇拝されています。

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