大黒東洋士

大黒 東洋士（おおぐろ とよし）

大黒東洋士は1908年11月12日、高知県に生まれた日本の著名な映画評論家です。彼の生涯は、映画文化の発展に貢献する多岐にわたる活動によって彩られています。彼は高知城東中学校を卒業後、早稲田大学に進学しましたが、在学中に中退しています。この時期に映画への興味が深まり、1928年に松竹キネマ研究所が設立した脚本家養成所に応募しました。

彼は、柳井隆雄と池田忠雄と協力しながら、初期の養成所生として選ばれ、その後『愛して頂戴』という映画の原作を手がけました。この作品を通じて、彼は映画界に関わる一歩を踏み出し、その後の映画評論活動としての基盤を築いていきます。

1931年、大黒は「映画時代」の編集者として活動を開始し、1935年には「映画之友」の編集長に就任しました。この時期、大黒は映画評論における知識を深め、次第に自身のスタイルを確立していきました。彼の評論は作品の深層を読み解くものであり、視聴者に鋭い洞察を提供するものでした。

戦後、大黒は「映画世界」の編集長に就任し、映画業界の動向についての理解を深めながら、多くの映画作品について評論を行いました。1950年にはこの編集職を辞任し、以降はフリーの映画評論家として活動を続けました。彼の評論は常に映画の本質に迫るものであり、多くの読者を魅了しました。

1982年には『映画とともに五十年』という著書を発表し、彼の映画への深い愛情と思索が詰まった作品を世に送り出しました。さらに同年には『イジワル映画批評家エンマ帳』もリリースしました。この著書は、彼の独特な視点から映画を批評した内容となっており、映画ファンの間で話題となりました。

大黒東洋士は映画評論の第一人者として、彼の活動は日本映画界に多大な影響を与えました。1992年10月24日に彼は亡くなりましたが、その遺産は今なお多くの人々に受け継がれています。また、1982年には勲四等瑞宝章を受勲し、その功績が正式に評価されることとなりました。彼の映画に対する真摯な姿勢と独自の視点は、今後も映画文化の中で重要な位置を占めることでしょう。

もう一度検索