天を支える者
『天を支える者』は、
前田珠子による日本の
ライトノベル作品です。イラストは明咲トウルが担当し、
コバルト文庫(
集英社)より2004年1月から刊行されています。
あらすじ
虹の色を冠した7人の神々によって創造された世界。その天と地の狭間には「空(くう)」と呼ばれる空間が存在します。強大な力を持つ神々は、直接世界に干渉することができません。そこで、神々は108の神宝を創造し、その半身と認めた人間を「柱神」として天と地の間に立たせることにしました。
しかし、時が経つにつれて人々はこの制度を悪用するようになり、神宝は歪み、その数は半減してしまいます。事態を重く見た神々は、残された神宝を守るため、人の中から神宝の半身を見極める「選定者」を選び出すことにしました。
物語は、選定者の一人に選ばれた16歳の少女、ナルレイシア・フォイリリル・ダカールの視点を通して描かれます。彼女は、神宝と柱神を巡る、波乱に満ちた運命に巻き込まれていくことになります。
登場人物
主要人物
ナルレイシア・フォイリリル・ダカール
本作の主人公。ディエーン王国の片田舎、フィレア出身の16歳の少女。金髪のツインテールと黄玉のような瞳が特徴で、「不幸中の幸いの権化」と呼ばれるほど数々の事件に巻き込まれてきました。選定者としての能力に目覚め、波乱の運命を歩むことになります。
リンシィア・セレナイダ・ファヴァイナ
ディエーン王都に暮らす老婦人。周囲からは「ファティ・リンシャ」と呼ばれ、敬愛されています。実は柱神の一人であり、ナルレイシアの雇い主として、彼女の成長を見守ります。
ガスカール・トーディアル・アルス・エルスカーネ
エルスカーネ公爵家の美青年。前王家の血を引く紫の瞳を持つことから、「紫公爵」と呼ばれています。異能者の気配を嗅ぎ分ける能力を持ち、ナルレイシアとは反発しながらも、次第に彼女に惹かれていきます。
スカルトード・ナネリーアン・フォスカリク
ガライラ大公国出身の青年。ディエーン王国で「奇跡及び神罰調査委員会」の長を務めています。ナルレイシアとは「本の虫同盟」を結ぶほどの読書家で、彼女を様々な面からサポートします。
リーイン・ル・ファン
東方世界出身の結界術師。ある事情から祖国を追われ、ナルレイシア一行と行動を共にすることになります。
柱神とその縁者
アマンシール
ディエーン王国の当代柱神。黄属の神宝「貴人の午睡」の半身。王家の一員でありながら柱神という稀有な存在です。
ギスカリール
フィレアの裏山に隠居する老人。アマンシールの悪友で、ナルレイシアに様々な知識を授けます。
ネイスリーズ
ガライラ大公国の柱神。スカルトードの大伯父にあたり、ナルレイシアを「黄金の小鳥姫」と呼んでいます。
ユーカリィヤ・アライア・アルス・オースリン
ディエーンの斎王院で生活する次代柱神候補の一人。病弱な侯爵令嬢です。
リオライーシャ
黄属の神宝「黄昏の黄金」に選ばれた次代柱神の少女。ユーカリィヤの双子の妹です。
ウォルセン・ディーシア・オルス・マルシアス
緑属の神宝「翠唱子」に選ばれた次代柱神の青年。精霊と会話できる能力を持ちます。
アシュアイード・ヴィーオラ・オルス・マルシアス
マルシアス侯爵家の次期当主。ウォルセンを溺愛しています。
クランクレイア
『古戀唄』に登場する王女。アマンシールと深く関わります。
コーランジュ
『古戀唄』に登場する「貴人の午睡」の先代。
クアン・クランド
『古戀唄』に登場するルーシアルの当代柱神。
その他
ランディータ
王都の宿屋兼食堂「踊る赤馬亭」の女将。実は王家直属の諜報部員です。
マルルーネ・セライ
ナルレイシアの幼馴染。牧場主の娘です。
ニドヴァール
フィレアの男爵家の令息。ナルレイシアに嫌がらせをしたことがきっかけで、没落します。
イージニアン
ヴィシャール伯爵家の次男。ニドヴァールの悪友です。
アゼルフィア
神殿に預けられていた少女。腕輪をナルレイシアに託します。
ハーリク
アマンシールの学友。
フィオーン
エルスース王家の王太子。
用語
虹神
世界を創造した7人の神々。
神宝
柱神を選ぶために神々が創造した物。
柱神
神宝に選ばれ、神籍に入った人物。
暗黒期
制度が歪められた時代
選定者
神宝の半身を見極める役目を負った人物。
神聖硬貨
各神殿で鋳造されている硬貨。
聖印
特別な痣。
東方世界
西方世界とは別の文化圏。
結界術
東方世界生まれの特殊な術。
マギル・レヴィン
有名な文筆家。
ディエーン
本作の主な舞台となる王国。
フィレア
ナルレイシアの出身地。
ダランジェイド
侯爵家が治めていた土地
アシャス
南部にある都市。
ファエン
保養地として有名な都市。
セルフィア
王都とファエンの間にある街。
エアラン
王国南西部の街。
ガライラ大公国
スカルトードやネイスリーズの出身国。
既刊一覧
本編
黄の章
『天を支える者』2004年1月、
ISBN 4-08-600363-5
『天を支える者 2』2004年5月、ISBN 4-08-600413-5
『天を支える者 3』2006年12月、
ISBN 4-08-600849-1
『天を支える者 4』2007年3月、ISBN 978-4-08-600884-6
緑の章
『緑風に誘われ』2008年2月、ISBN 978-4-08-601124-2
『緑の糸をたどって』2008年4月、
ISBN 978-4-08-601149-5
『緑蘿の檻に囚われ』2008年7月、ISBN 978-4-08-601182-2
『緑玉の枷に繋がれ』2008年9月、
ISBN 978-4-08-601204-1
『緑の鈴を、振る』2008年11月、ISBN 978-4-08-601225-6
『空に響く緑の鈴音』2009年2月、
ISBN 978-4-08-601256-0
外伝
『天を支える者 古戀唄』全5巻
2005年8月、
ISBN 4-08-600624-3
2005年12月、ISBN 4-08-600692-8
2006年2月、
ISBN 4-08-600729-0
2006年5月、ISBN 4-08-600759-2
2006年8月、
ISBN 4-08-600799-1
『罠は、蜜の味』2007年6月、ISBN 978-4-08-601023-8
『憧れは遠くに置きて抱くもの』
初出は雑誌『Cobalt』2013年3月号、『破妖の剣6 鬱金の暁闇16』に収録
関連作
空の呪縛(イラスト:明咲トウル)
『空の呪縛』2007年8月、ISBN 978-4-08-601052-8
『空の呪縛 月の堕ちるとき』2007年12月、
ISBN 978-4-08-601101-3