天中殺

天中殺（てんちゅうさつ）とは？

天中殺とは、四柱推命や算命学において用いられる概念で、干支において天が味方しない時期とされています。算命学では「天中殺」、四柱推命では「空亡（くうぼう）」と呼ばれることが多いです。六十干支は6種類の天中殺の旬に分類され、それぞれに対応する2つの地支が「空亡」とされます。例えば、甲子旬（甲子から癸酉まで）では戌と亥が、甲戌旬（甲戌から癸未まで）では申と酉が空亡となります。

この概念は、干支を用いた占いの用語として古くから存在していたと推測され、中国清代の書物『子平真詮』は空亡を否定していることから、それ以前から存在していた可能性を示唆しています。日本では、高尾義政が高尾流算命学を創始した際に「空亡」を「天中殺」と言い換えたことが、現在の名称の普及に繋がりました。その後、弟子である神煕玲によって「天冲殺」という表記も用いられるようになりました。

算命学と四柱推命では、天中殺／空亡の扱い方が異なります。算命学では「限定されない気で、物事は意に反して動く」とされ、四柱推命では「あってなきが如し」と捉えられています。

1979年、易者の和泉宗章氏がテレビ番組で天中殺に基づき、読売ジャイアンツの日本一を予言しなかったことがきっかけで、天中殺が広く知られるようになりました。和泉氏の著書がベストセラーとなり、一時的なブームを巻き起こしましたが、予言が外れたことで和泉氏は易学の世界から退きました。

天中殺と生年月日時

天中殺は、生年、生月、生時など、生年月日時のいずれかに存在する可能性があります。それぞれの要素が持つ意味と、天中殺が及ぼす影響について見ていきましょう。

生日から見て生年月日時に天中殺のない人

天中殺がない場合、四柱の各機能が全開し、性格が明朗で理解しやすい傾向があります。しかし、天中殺の時期には運勢が変化しやすく、極端な状況に陥る可能性も秘めています。命式の均衡が崩れている場合は、天中殺が逆に必要となるケースもあります。

生年: 父祖や目上との関係、出身階級を象徴します。
生月: 基本的な性質、兄弟同年代との関係、各天干の強弱を象徴します。
生時: 晩年の姿、子女との関係を象徴します。

生日から見て生年月日時に天中殺のある人

天中殺がある場合、「当てにならない」状況が発生する可能性があります。

生年が天中殺の場合: 出身階級、目上、父祖を象徴し、天中殺があるとこれらの関係に課題が生じることがあります。六星占術では霊合星人と呼ばれます。
生月が天中殺の場合: 基本的な性質、仲間との関係を象徴し、天中殺があると同世代の人や兄弟と疎遠になりやすい傾向があります。ただし、季節を表すという解釈もあり、空亡の影響を受けないと考える意見もあります。
生時が天中殺の場合: 晩年の状態、子女との関係を象徴し、天中殺があると子女との関係に課題が生じることがあります。

生年から見て生日に天中殺のある人

生年干から見て生日支が天中殺に当たる場合、父祖目上からの理解を得にくい可能性があります。また、結婚においても親からの反対や問題が起こりやすくなります。

天中殺の解消法

天中殺に当たる地支が生年月日時に存在する場合、以下の後天運（流年や大運）によって解消される可能性があります。

地支が沖撃される: 空亡の地支と反対の位置にある地支が巡ってくること。
地支が方合専気を迎える: 空亡の地支と調和する地支が巡ってくること。
* 地支が全会する: 空亡の地支と関連する地支が巡ってくること。

天中殺の解消における注意

四柱推命と算命学では、天中殺の解消に関する考え方が異なります。四柱推命では後天運による解消を重視しますが、算命学では天中殺の気を増幅すると考えます。そのため、四柱推命の理論に基づいた行動は、算命学の観点からは危険な場合があります。

参考文献

加藤普品、他『運勢大辞典』（国書刊行会）

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