天国への階段 (レッド・ツェッペリンの曲)

レッド・ツェッペリン「天国への階段」：ロック史に輝く不朽の名作

「天国への階段」(Stairway to Heaven)は、イギリスのロックバンド、レッド・ツェッペリンを代表する楽曲であり、ロック史に残る不朽の名作として知られています。1971年に発表されて以来、その神秘的な歌詞とドラマティックな楽曲構成で、世界中の音楽ファンを魅了し続けています。ジミー・ペイジとロバート・プラントの共作で、レコードでの演奏時間は約8分。

作曲の背景

1970年、ジミー・ペイジはすでに「静かに始まり、徐々に盛り上がってゆく長い曲」という構想を抱いていました。同年春、ペイジとロバート・プラントはウェールズのコテージ、ブロン・イ・アーに滞在中に曲のアイデアを得たとされています。具体的な作曲作業は1971年初め、4枚目のアルバム制作のため、ハンプシャーの古邸宅ヘッドリィ・グランジで行われました。ペイジが提示したコード進行をもとに、ジョン・ポール・ジョーンズとともにベーシックトラックを作成。リハーサル中にプラントが歌詞を書き上げました。

レコーディング

最終的なレコーディングは、ロンドンのアイランド・スタジオでアンディ・ジョーンズによって行われました。レコーディング・エンジニアのリチャード・ディグビー・スミスの証言によると、発表されたのはテイク2。テイク1の収録後、ペイジが録り直しを提案し、ジョン・ボーナムは不満そうな表情を浮かべながらもスタジオに戻り、テイク2を演奏。プレイバック後、ボーナムはペイジと抱き合い「君が正しかった」と語ったと言われています。

楽曲構成

「天国への階段」は、イ短調、4/4拍子、三部構成の楽曲です。

第一部: アコースティック・ギターのアルペジオとリコーダーによる静かなパート。
第二部: エレクトリック12弦ギターとエレクトリック・ピアノが加わり、リフを奏でます。後半からはエレクトリック・ベースとドラムスが加わり、曲は徐々に盛り上がりを見せます。
第三部: 12弦ギターによるファンファーレ風の序奏に導かれ、ペイジのギターソロ、プラントのシャウトへと続き、クライマックスを迎えます。最後の4小節で曲は速度を緩め、プラントの独唱で静かに幕を閉じます。

曲全体は「延々と続く繰り返し」という印象を与えますが、単一の要素を繰り返しながら楽器数を増やし、クライマックスに至る構成は、ラヴェルの「ボレロ」のように、広い意味での変奏曲と捉えることができます。

歌詞

プラントがヘッドリィ・グランジの暖炉の前で書いたとされる歌詞は、34行から成り、大部分が4行で1連を成しています。冒頭には「輝くもの全て黄金だと信じるladyが天国への階段を買おうとしている」と歌われており、この「lady」が全編を通じての主役であると考えられますが、歌詞の内容・視点は連ごとに変化し、解釈は多岐にわたります。レッド・ツェッペリンの結成過程を象徴的に歌っている、資本主義への警鐘である、当時のベトナム戦争を象徴している、ドラッグについて歌っているなど、様々な解釈が存在します。

また、「『天国への階段』を逆回転で聴くと悪魔崇拝を勧めるメッセージが聞こえる」という噂がありましたが、メンバーはこれを否定しています。

盗作訴訟

2016年、「スピリット」の楽曲「Taurus」との類似性が指摘され、著作権侵害で訴えられました。裁判ではレッド・ツェッペリン側が勝訴しましたが、その後も裁判は続き、最終的に2020年、盗作ではないとの判断が確定しました。

ステージ・パフォーマンス

「天国への階段」は、1971年3月5日のベルファスト公演で初演されて以来、レッド・ツェッペリンの全公演で演奏されました。1975年以降はコンサートの結びの曲として演奏されることが多くなりました。また、レッド・ツェッペリン解散後も、再結成の際に演奏されています。ステージでは、ペイジがダブルネック・ギターを使用し、ジョーンズはハモンドオルガン、メロトロン、ヤマハ・GX-1などを演奏しました。

影響と評価

「ローリング・ストーン」誌が選ぶ「オールタイム・グレイテスト・ソング500」では31位、「オールタイム・グレイテスト・ギター・ソングス100」では8位にランクインするなど、高い評価を得ています。冒頭のギターアルペジオは多くのギタリストに影響を与え、楽器店では「天国への階段禁止」の掲示が出されるほど、頻繁に演奏されています。

ヘルベルト・フォン・カラヤンは「完璧」と絶賛しました。この曲は2008年までに推定5億6200万ドルの収益を上げたとされています。

カバー

「天国への階段」は、数多くのアーティストによってカバーされています。

ファー・コーポレーション
スタンリー・ジョーダン
フランク・ザッパ
ドレッド・ツェッペリン
パット・ブーン
ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ
メアリー・J. ブライジ
* 宗次郎

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