天地開闢 (日本神話)

天地開闢（てんちかいびゃく）

天地開闢とは、日本神話における天地の創生、つまり世界が誕生する最初の瞬間を指します。この出来事は、特に古代の文献である『日本書紀』や『古事記』の冒頭に記されています。狭義には『日本書紀』の「古に天地未だ剖れず、陰陽分れざりしとき……」を指しますが、ここでは広く日本の神話全般にわたる天地の創造について解説します。

1. 概要

日本人の思想や文化に深く根ざしている天地開闢の神話は、古代より多くの物語や解釈が存在しており、その中でも特に有名なのが『古事記』と『日本書紀』です。これらの文献の中で、天地がどのように造られ、神々が誕生したのかが異なる解釈で示されます。

2. あらすじ

『古事記』における天地開闢

一般的に、日本の天地開闢は『古事記』の冒頭に記載される「天地初発之時」によって知られています。この始まりの部分では、具体的に天地の創造過程は描かれていませんが、最初に生まれた三柱の神、即ち造化の三神が高天原に現れます。

• - 天之御中主神（あめのみなかぬしのかみ）
• - 高御産巣日神（たかみむすひのかみ）
• - 神産巣日神（かみむすひのかみ）

続いて、二柱の神が誕生します。これらの神々は、いずれも性別を持たず、独身のままに姿を隠すことになります。これにより、彼らは特に「別天津神（ことあまつかみ）」として知られる神々となるのです。

その後、国之常立神（くにのとこたちのかみ）と豊雲野神（とよくもののかみ）の二柱が続けて誕生し、彼らもまた神話には登場しませんが、重要な役割を果たしています。

ここからさらに五組十柱の神々が誕生し、これらの神々は男女の対となっています。これらを総称して神世七代（かみのよななよ）と呼ばれます。

『日本書紀』における天地開闢

一方で、『日本書紀』においても天地開闢が描かれていますが、ここでは天地が混沌から分かれ、陰陽の二つに分かれる様子が語られています。そして、混沌から生まれた神々はそれぞれの特徴を持ち、その後様々な神々が誕生していくのです。

天地が分かれた結果、まず生まれたのが国常立尊（くにのとこたちのみこと）などの根源的な神々です。これらの神々は主に男性として描か化され、続いて男女の別れた神々が現れます。

3. 根源神たちの登場

天地が分かれたのち、混沌の中からコモノ（葦の芽）様な存在が現れ、彼らが神として生まれていく過程が描かれます。ここで言及される神々は、国常立尊、国狭槌尊（くにのさつちのみこと）、豊斟渟尊といった、純粋に男性に描かれています。

4. 男女一対神たちの登場

天地が分かれた後、まさに男女の神々が生まれ、これにより神々の系譜がより具体的に形成されていきます。『日本書紀』では、四組の男女の神々が登場し、それぞれに呼称が与えられています。彼らは次世代の神々と深い関わりを持っており、後の神話の展開にも大きく寄与します。

結論

天地開闢は単なる神話の枠を超え、日本の文化や思考に影響を与えてきた重要なテーマです。多様な解釈と深い意味が織り交ぜられ、現代においても神話研究の対象となっているのです。

もう一度検索