国之常立神

国之常立神（クニノトコタチ）とは

国之常立神は、日本神話に登場する神であり、『古事記』では神世七代の最初に現れた神、『日本書紀』では天地開闢の際に最初に現れた神とされています。別名を国底立尊（クニノソコタチ）ともいいます。

記紀における記述

『古事記』では、天之常立神の次に現れた独神であり、姿を現さなかったと記されています。一方、『日本書紀』では、純粋な男性神（陽の気のみで生まれた神）として描かれており、天地開闢の最初の神とされています。両書ともに、具体的な説話はほとんどありません。

神名の「国之常立」は、「国土が永久に立ち続けること」を意味すると解釈されることが多く、国土の土台や出現を表す神であると考えられています。

神道における位置づけ

伊勢[[神道]]では天之御中主神、豊受大神とともに根源神とされ、吉田神道では天之御中主神と同一視され、宇宙の根源神として扱われています。この流れを汲む教派[[神道]]でも、国之常立神は重要な神とされています。

新宗教と国之常立神

明治時代後半以降、新宗教の大本が国之常立神を重視し、日本の歴史に大きな影響を与えました。

大本における国之常立神

大本の開祖である出口直は、国之常立神の神懸かりを受けたとされ、出口王仁三郎は、国之常立神がかつて鬼門に追放されたが、世の建て替えのために復活すると説きました。大本は、国之常立神を中核とした終末論的な教えを広め、一大宗教勢力となりました。

大本事件

大本は政府から警戒され、二度にわたる弾圧を受けました。特に第二次大本事件では、治安維持法違反と不敬罪により徹底的に弾圧され、教団は壊滅状態となりました。この事件の背景には、大本の政治的影響力に対する政府の警戒感や、国家[[神道]]と新宗教の間の宗教観の相違があったと考えられています。

大本の影響

大本は戦後に再建され、その教えを受け継ぐ新宗教も多く生まれました。国之常立神は、これらの新宗教においても重要な神として位置づけられています。

国之常立神を祀る神社

神仏分離令により、祭神を天之御中主神に変更した神社が多い中、一部の神社では、国之常立神を祭神としています。これらの神社は、国土形成の根源神、国土の守護神として信仰を集めています。

以下は、国之常立神を祀る主な神社です。

加波山神社（茨城県石岡市）
御岩神社（茨城県日立市）
高椅神社（栃木県小山市）
聖神社（埼玉県秩父市）
十二所神社（埼玉県川口市南鳩ヶ谷）
蘇羽鷹神社（千葉県松戸市）
明治神社（千葉県松戸市）
大宮神社（千葉県千葉市若葉区）
日枝神社（東京都千代田区）
大鳥神社（東京都目黒区）
二宮神社（東京都あきる野市）
長尾神社（神奈川県川崎市多摩区）
御嶽神社（長野県木曽郡王滝村）
高岡関野神社（富山県高岡市）
諸大明神社（愛知県春日井市松本町）
山津照神社（滋賀県米原市）
城南宮（京都府京都市伏見区）
西代神社（大阪府河内長野市）
国常立神社（奈良県橿原市、天香久山山頂）
玉置神社（奈良県吉野郡十津川村）
熊野速玉大社（和歌山県新宮市）の相殿
若桜神社（鳥取県八頭郡若桜町）
犬山神社（鳥取県鳥取市用瀬町）
小村神社（高知県高岡郡日高村）

まとめ

国之常立神は、日本神話における重要な神であり、その名は『古事記』や『日本書紀』に記されています。国土の形成に関わる根源的な神として、古くから信仰を集めてきました。また、新宗教である大本においては、中心的な神として位置づけられ、その教義に大きな影響を与えました。現在でも、国之常立神を祀る神社が存在し、多くの人々に信仰されています。

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